【「かもしれない星」の住人と、圧倒的余裕の「職業美女」】話題の「浮気判定シート」から紐解く、恋人を尊重するマインドと人間関係のリアル


SNSなどで大きな話題を呼んでいる「浮気判定シート」をご存知でしょうか。パートナーの行動がどこまで許せて、どこからが浮気になるのかを段階的に判定するこのシートをテーマに、にじさんじのバーチャルライバーであるスカナさんと、「職業美女」を自称する早瀬走さんがそれぞれの恋愛観を深掘りしています。

ほぼすべての項目を「許せない」と警戒するスカナさんと、大半を「3(全然いい)」とあっけらかんと肯定する早瀬さん。対照的な2人の掛け合いを紐解いていくと、単なる恋愛のルールを超えた「人とどう向き合うか」という興味深いマインドの違いが浮かび上がってきます。

1. 「人間関係の潤滑油」か、それとも「嫉妬の火種」か

まず議論の俎上に上がったのは、「異性と2人でランチに行く」「仕事終わりに異性の同僚と2人で飲みに行く」という日常的な場面です。もしあなたの恋人が、異性と2人きりで食事に出かけると言ったらどう感じるでしょうか。

スカナさんは、仕事なら仕方ないと頭では理解しつつも、ヤキモチを焼いてしまうため手放しでは喜べません。早瀬さんが食事相手に「可愛いじゃん」と口説かれるのではないか、あるいは恋人が飲み会の席でそのまま相手に靡いてしまうのではないかと心配になるからです。

一方、林瀬さんはどちらも「全然いい」と即答します。自分自身も恋人がいながら異性とランチに行くことがありますし、仕事の取引先が女性だったという理由で激怒する方が問題だと考えているからです。さらに、恋人の職場に女性が多いことも把握した上で、交際当初に「浮気したら別れる」と明確な境界線を伝えているため、日々の飲み会をいちいち疑う必要がないのです。
このスタンスの違いは、「異性に『今日可愛いね』と言う」「異性の髪型や服装の変化に気づいて褒める(シート13番)」という項目でさらに鮮明になります。

スカナさんは「可愛いという言葉は私だけに言ってほしい」と訴えます。自分の知らない職場で恋人が他の女性を褒めている姿を想像すると、どうしてもモヤモヤしてしまうのです。恋する乙女としては、ごく自然な感情ではないでしょうか。

しかし、早瀬さんの視点はまったく異なります。早瀬さんの恋人(ピッピ)は、挨拶代わりにごく自然に「可愛いね」と口にするタイプであり、早瀬さんの友人に紹介した際も「めっちゃ可愛いやん」と褒めたそうです。早瀬さんはそれを嫌がるどころか、「こいつできるやん」と感心し、友人の顔を立てつつ恋人自身の人間的な株も上がる素晴らしい振る舞いだと評価しています。

なぜ、そこまで寛容になれるのでしょうか。それは早瀬さんが、相手の些細な変化に気づいて褒める力を「男女問わず人間関係を円滑にする潤滑油」だと捉えているからです。

彼女の恋人は「今日ちょっと髪切りました?」とすぐに気づける、いわゆる「人たらし(人の懐に入るのが上手な人)」であり、早瀬さんはその能力を深く尊敬しています。職場の女性を褒めて気分良く働いてもらい、それで仕事が1つでも2つでも取れれば万々歳であり、結果として恋人が自分を美味しいご飯に連れて行ってくれれば「回り回って自分たちのためになる」というロジックです。

実に見事な逆転の発想です。スカナさんはこれを「彼氏持ちの余裕」ではないかと勘繰りますが、早瀬さんは「彼氏がいなくてもそう思っている」と断言します。彼女にとって褒め言葉とは、人生をスムーズに回すための挨拶のようなものなのです。

2. 「ニョキっ」と割り込むユーモアと、プリンセスの誇り

では、仕事ではなく完全にプライベートな領域ならどうでしょうか。「異性の友達と2人で映画を見に行く」「異性の友達と2人で買い物に行って服を選んでもらう」という、一見するとデートそのものに思えるシチュエーションです。

買い物で服を選んでもらう行為については、世間からも「ただのデート」「それが発端で別れました」といった厳しい声が届いています。しかし、早瀬さんはここでも独特のユーモアでかわしていきます。

映画に行くなら「逆に私、晩御飯から合流するわ」と提案し、服選びなら「私の方がセンスあるから選んだろ」「あんたこういう系統が似合うで」と、相手の異性の服までコーディネートしてしまうと言うのです。選択肢が提示された瞬間、頭の中に早瀬さんが「ニョキっ」と生えてきて、2人の空間に明るく割り込んでいくイメージです。深刻に悩むのではなく、自分もその場に混ざってしまえばいい。そんな軽やかさには、思わずクスッとさせられます。

さらに、「異性に恋愛相談をする」という項目でも、早瀬さんの自己肯定感の高さが光ります。

スカナさんは、恋人が他の女性に不満を漏らし、「彼女さん厳しいね」と同情された結果、恋人を略奪されるのではないかと危惧します。「自分が好きになったということは、他の人も好きになる可能性がある」と考えるからです。

対する早瀬さんは、「自分が好きになっただけで、他の人が好きになるわけがない」とキッパリ言い切ります。むしろ喧嘩をした時は、男友達に相談して「お前の彼女、最悪だな」と同調されるよりも、女友達に相談して「彼氏さん、それはちょっとおかしいと思いますよ」と叱られてきてほしいと願っています。恋人の友人たちには、自分のことを「厳しい彼女」ではなく、「火の打ち所のないプリンセス」として紹介してほしいという確固たるプライドがあるからです。

同様に、「異性から可愛い・かっこいいと言われて普通に喜ぶ」ことについても、早瀬さんは「裏の下心や浮気を結びつけるからややこしくなるだけ」と語ります。素直に「ありがとうございます、〇〇さんも綺麗っすよ」と返せる人の方が、人間としてずっと魅力的だというわけです。

このほかにも、日常の細かなやり取りについて2人の意見は交錯します。

 * 異性とのツーショットをスマホに残している:2人が共有している写真記録アプリ「セットログ(日々の記録や写真を共有するツール)」の話題になり、スカナさんから見ると早瀬さんや共通の友人(ウイ派さん)は非常にマメに更新しているそうですが、早瀬さん自身は周囲のアクティブな友人たちに比べれば少ない方だと感じています。

 * 異性から「一番仲いい異性の友達」と言われる:言われるだけなら「仲良くしていただいてありがとうございます」と大人の対応ができる早瀬さんですが、もし彼女である自分の目の前でわざわざ言われたら、マウントを取られているような悪意を感じると言います(対談中には、スカナさんが拗ねて泣き真似をし、早瀬さんが「泣かないで」と優しくあやす微笑ましい一幕もありました)。

泣いている異性の友達を慰める・寒そうな異性に上着を貸す:早瀬さんは「泣いている友達を無視してスルーする方がやばい」「上着も貸してやってくれ」と、人としての当然の優しさを優先します。

異性の友達の引っ越しを2人で手伝う:早瀬さんは「人手がいるなら私も行くし、なぜ他の友達がおらず2人きりなのかが純粋に謎」と疑問を呈します。一方、スカナさんは「家に入る=男女が揃ったら間違い(肉体関係)が起きるかもしれない」と警戒し、少しでも危険な可能性の芽はすべて摘み取っておきたいと主張します。

3. 「かもしれない星」の住人と、社会を生き抜くリアリズム

対談の後半では、多くのカップルにとって最大の地雷となりやすい「元恋人との関わり」へとテーマが移ります。あなたは、恋人が元カレ・元カノとSNSで繋がっていることを許せますか?

「元恋人のSNSをフォローしたまま」という項目に対し、円満な別れ方を経験したことがないスカナさんは「視界に入るだけで嫌だ」と拒絶反応を示します。彼女は現在の恋人のフォロー欄すらチェックし、フォローしているグラビアアイドルや頻繁にリプライを送っている女性から「ロングヘアが好きなのか、ショートが好きなのかといった好みの傾向を知りたい」と語るほど、相手のすべてを把握したいタイプです。

それに対し早瀬さんは、好きな人のことを知りたい気持ちは素敵だと認めつつも、「知りすぎは良くない」とたしなめます。ひどい別れ方をしたならともかく、円満に別れて友達に戻ったのであれば、多少気まずくてもわざわざフォローを外す必要はないという考えです。早瀬さん自身、この割り切り方は「人間としての強度」の違いか、あるいはTwitter(現X)でエゴサーチをした際に見かけた傾向からして、少し「男性脳」に近い感覚なのかもしれないと自己分析しています。

「元恋人の投稿に『いいね』する」という行動についても、スカナさんは「通知がいくアピールだ」「そこから関係が復活するかもしれない」と猛反対し、早瀬さんから「お前はどこの住人やねん」とツッコまれると、自ら「かもしれない星から来ました」と認めて笑いを誘います。早瀬さんにとっては、いいねなど単なる「見ましたよという挨拶」に過ぎず、そこから先に発展するはずがないため、好きにさせておけばいいという感覚なのです。

この「かもしれない星」の住人とリアリストの対比が最も際立ったのが、元恋人とのLINEのやり取り(シート33番・42番など)です。

スカナさんは、元恋人など全員ブロックしてほしいと考えており、新年の「あけおめ」LINEに返信することも、「今年もよろしく」と伝えることも、さらには「久しぶり、元気?」という連絡に数往復だけ近況報告を返すことも、すべて「浮気の種」になるから阻止したいと訴えます。

しかし、早瀬さんはここで「社会性」という極めて現実的な視点を提示します。

元恋人とはいえ、仕事上の取引先や、学生時代の先輩・後輩である可能性も十分にあります。「世界は恋人との2人だけで回っているわけではない」のです。多様な人と関わりながら生きていく人間社会において、「あけましておめでとうございます」という挨拶すら既読スルーして返せない人間の方が問題だと早瀬さんは指摘します。

特に印象的なのが、「元恋人から『誕生日おめでとう』とLINEが来て『ありがとう』と返す」という項目への考察です。早瀬さんは、誕生日の祝辞にすらお礼を返せないような不義理でマメじゃない人間は、いずれ恋人である自分のLINEも返してくれなくなるため、「そんなやつとは逆に付き合いたくない」とバッサリ切り捨てます。もちろん、近況報告のLINEから実際に会って肉体関係を持てば完全に「浮気」ですが、数往復の挨拶や会話だけで浮気扱いするのは現実的ではないのです。

4. 相手を尊重するということ

すべての項目を振り返り、最後に早瀬さんが語った言葉は、恋愛における信頼関係の本質を突いています。

最初から「浮気するかもしれない」と疑心暗鬼になりながら付き合っていても、ちっとも楽しくありませんし、幸せを感じることもできません。本当に浮気をしたのなら全力で責められるべきですが、浮気をする気などまったくない誠実な恋人に対して、「浮気したんでしょ」「そういうことをしたら嫌だ」と先回りして縛り付けるのは、相手の人間性を尊重していないことになってしまうのです。

不安から「可能性の芽」をすべて摘み取ろうとするスカナさんの真っ直ぐな独占欲も、人間関係のリアリズムと信頼をベースに圧倒的な自由を認める早瀬さんのマインドも、どちらも人間らしい感情の表れです。ただ、「相手を一人の自立した人間として尊重する」という早瀬さんの視点を取り入れてみると、日々の恋愛の景色が少しだけ風通しの良いものに変わるかもしれません。