【忘れ去られる恐怖と、命の重み​】 兎田ぺこらがARKの混沌で見せる「生々しい本音」と仲間へのリスペクト


朝の光が差し込むゲームの拠点から、兎田ぺこらの賑やかな1日が始まります。「おはよう、働いてる?」と仲間たちに声をかけながら紹介されたのは、新しく護衛として加わったレベル150のテリジノサウルス――通称「テリジノさん」でした。

テリジノサウルスといえば、ゲーム『ARK: Survival Evolved』の世界では巨大な爪を持つ草食恐竜ですが、その戦闘力と素材採取能力は圧倒的です。肉食恐竜をあっさり撃退する頼もしさに加え、木材集めなどの細かな作業まで一瞬でこなしてしまいます。「君たち、働きが悪かったら全部テリジノさんに仕事取られちゃうよ!」と、拠点にいる他の恐竜たちを煽るぺこら。まるでワンマン社長のようなブラックジョークが飛び交う、いつもの軽快な立ち上がりです。

しかし、リスナーから「パワハラだ」と突っ込まれると、話題はふと意外な深みへと転がり始めます。

「忘れ去られたら終わりな世界なんだよね」

芸能界でも配信者の世界でも、活動を退けば人々の記憶から徐々に薄れていってしまう。その厳しさを、彼女は誰よりも肌で感じているのでしょう。では、忘れられないためにはどうすればいいのか。彼女が導き出した奇想天外な答えは、「死んだら自分の意識をネットにアップロードして、自我を持ったAIぺこらとして永遠に生き続ける」というものでした。

仮想世界でゲームマスターとなり、参加者を過酷なデスゲームに巻き込んだり、ネット掲示板で悪口を書き込むアンチの画面に突然現れて制裁を下したりする……。どこか名作アニメを彷彿とさせる暴走した妄想を語り、リスナーを笑わせます。

ところが、そんな壮大な野望を語っていた直後、思わぬアクシデントが襲います。敵の自爆攻撃に巻き込まれ、身につけていた防具一式が一瞬で弾け飛んでしまったのです。「最後っ屁でメガンテ(自爆呪文)選んだな!?」と叫びながら、丸裸の状態で大慌て。そこで飛び出したのが、往年のアイドル・前田敦子さんの名言をもじったこの台詞でした。

「ホロライブのことは嫌いになっても、ぺこらのことだけは嫌いにならないでください!」

所属事務所よりも自分を優先する利己的な叫びには、「さすがにカバー(運営会社)もカバーしきれない」と自虐のツッコミが入ります。もっとも、直後には「会社はちゃんと守ってくれている」と素直に感謝を口にするあたりに、彼女らしいバランス感覚が覗きます。

ゲームは進み、貴重なお宝クレート(アイテムコンテナ)を回収したものの、今度は味方の優秀な恐竜が2匹命を落としてしまいます。「また捕まえればいい」と割り切るリスナーに対し、ぺこらは「みんな、命の重み忘れてない?」と問いかけます。

初心を思い返せば、ゲームを始めたばかりの頃は違いました。初めて恐竜が命を落とし、先輩の桐生ココ(会長)が素材を回収するためにピッケルを振るったとき、「なんて酷いことするの!」と純粋にショックを受けていたのです。生き物の命を奪う痛みを覚えていた無垢な自分と、いつの間にか効率ばかりを追い求めるようになった現在の姿。ゲームのプレイ画面越しに、人は誰もが通る「慣れ」という名の変化を痛感させられます。

同時に語られたのは、ホロライブの躍進を支えた桐生ココへの真摯なリスペクトでした。海外ファンを巻き込み、一大ムーブメントを築き上げた会長の牽引力があったからこそ、自分たちもARKという広大なサバイバルの世界に飛び込むことができたのだと振り返ります。

しんみりとした空気が流れたのも束の間、チャット欄に同期の白銀ノエルから「あと3分で出産」という不穏なメッセージが飛び込んできます。「えっ、ノエル誰の子産むの!? 出産しながらゲームやってんの!?」と絶叫するぺこら。もちろん、ゲーム内の恐竜(アルゲンタヴィスなど)の孵化・繁殖の話なのですが、独特のワードセンスに振り回され、拠点は再び爆笑に包まれていきました。

シリアスな人生観から突拍子もないギャグ、そして仲間への敬意まで目まぐるしく行き交うこの空間。笑いとドラマが絶え間なく押し寄せるからこそ、彼女の配信は今日も多くの人を惹きつけて離しません。