株式投資で元手100万円から12億円を築いたと聞くと、どんな別世界の天才を想像しますか?
実は、投資歴25年を誇り、現在は「20歳の投資系VTuber」として活動するアバネちゃんという方がいます。彼女の投資人生は、驚きと生々しい人間味に溢れています。
彼女が株を始めた最初の動機は、なんと「ビッグスクーターが欲しかったから」でした。当時100万円を持っていた彼女は、そのままスクーターを買うと手元の資金が半分に減ってしまうと考えました。そこで、「まずは株で2倍に増やしてから買えば、お金が減らない」と思いついたのです。まるで、果実を食べる前に種を植えて木を育てようとするような、とても合理的な発想ですよね。
元々彼女は、古いゲーム機をヤフオクで売買する「せどり」で生計を立てていました。ファミコンからPlayStationへと世代交代する時期に、捨て値でまとめ売りされるゲームソフトの適正価格を暗記し、その価格差で利益を出していたのです。市場の歪みを見抜く才能は、この頃から培われていました。才能の萌芽です。
そんな彼女がデイトレードの世界に足を踏み入れたのは、中長期投資をするネットの友人に株を教わったことがきっかけでした。ある日、教えてもらった銘柄を買い、たった1%の利益で売ってしまった彼女は、友人に大目玉を食らいます。しかし、毎日のように値上がりランキングが激しく入れ替わるのを見ていた彼女は、こっそりと短期売買にのめり込んでいきました。
ここで彼女が目をつけたのが「イナゴ」の動きです。
「イナゴ」とは、目先の利益を求めて特定の銘柄に群がり、すぐに別の銘柄へと移動していく短期投資家たちを指す専門用語です。毎日同じ銘柄が上がり続けるわけではないため、彼女は「今、どこにイナゴの群れがいるのか」を読み解きながら、資金が集まっている場所に飛び込んでいく「順張り」というスタイルを確立しました。良い波が来ているサーフボードを見つけて、そこにポンと飛び乗るような感覚ですね。
とはいえ、地合い(市場全体の雰囲気)が悪い時はそう簡単にはいきません。
そんな日は、売買代金ランキングや前日に発表された「適時開示(企業が投資家に向けて出す重要なニュース)」を細かくチェックし、みんなが集まりそうな銘柄を探り当てます。
彼女の資産推移は、まさにジェットコースターです。
2005年のライブドアショックの年に1億円に到達し、リーマンショック前には2.5億円まで増えました。しかし、リーマンショックの煽りを受け、一気に1億円まで激減してしまいます。この時の恐怖が強いトラウマとなり、以降は相場が下落している時の投資には慎重になりました。痛い目を見ることで、人は本当のリスク管理を学ぶのですね。
その後、アベノミクスやビットコインの波に乗り、2018年には一時12億円に達しました。
法人として6億円を稼いだ際には、なんと3億円もの税金を地元の金融機関に現金で支払いに行き、担当者を腰を抜かせるほど驚かせたそうです。現在は2月頃に復活したものの、戦争の影響などもあって資産が溶け、約5億円の資産を運用しています。一筋縄ではいかない世界です。
驚くべきは、その資産の内訳です。
20年間続けている金(ゴールド)の積立が約8000万円分あるほか、証券会社とのお付き合いで買ったIPO(新規公開株)や投資信託に4000万円から5000万円ほどを入れています。ただし、金は総合課税の対象になるため税金が高いことに最近気づき、悩んでいるそうです。それでも、安全資産にもしっかり分散されている点に、長年相場を生き抜いてきたしたたかさを感じます。
日々のトレード環境も圧巻の一言です。
配信を行いながら、適時開示、各種ランキング、世界の株価指数、自作ツールなどを複数のモニターに表示し、同時に処理しています。常に監視している「1軍」の銘柄は10個以内に絞り、細かな値動きを頭に叩き込んでいます。全体では200銘柄ほどをチェックしているそうです。
一度の取引額(ロット)は、自分の売買で株価を動かしてしまわないよう、板(売り買いの注文状況を示す表)を見ながら慎重に決めています。スキャルピング(数秒から数分で売買を繰り返す超短期取引)出身だからこそ、自分の注文による価格変動で利益が削られるのを嫌うのです。
近年は、アルゴ(AIを用いた自動発注プログラム)が個人投資家を罠にはめるような複雑な動きをするため、その騙し合いをいかにくぐり抜けるかが課題だと言います。機械との知恵比べですね。
そのため彼女は、夜も休む暇がありません。
PTS(夜間取引)や適時開示の確認、配信の準備に加え、自らプログラミングコードを書いています。長年の経験と相場観をシステムに落とし込み、最終的にはAIを使った自動売買システムを構築するのが目標だからです。睡眠時間が3時間半から4時間半しか取れない日も多く、寿命が縮む思いで挑んでいます。
最後に面白いのが、彼女もMCのチョル子さんも「運気」といったスピリチュアルな要素をとても大切にしている点です。
人の運を吸い取ってしまうタイプの人には近づかないようにするなど、見えない力への敬意も忘れません。
膨大なデータとAIを駆使するデジタルな戦いの裏側で、欲求に素直に従い、恐怖に震え、運気を気にする。そんな人間臭さこそが、彼女が厳しい相場の世界を25年間も生き抜いてきた最大の秘訣なのかもしれませんね。