MIXIの木村社長とひろゆき氏が、フランスの「ジャパンエキスポ」で語り合った約40分の対談。これが、日本のエンタメ業界の未来を考える上で、すごく面白い内容だったんです。
今回は、この濃密な対談をもう少し肩の力を抜いて一緒に振り返ってみましょう。
「ガチャ」は世界共通言語じゃない?
MIXIといえば「モンスト」ですよね。日本での大ヒットを引っ提げて、当然海外でも……と思いきや、実はヨーロッパでは少し苦戦しているそうです。
理由はシンプル。
「ガチャ文化」が受け入れられにくいから。
ひろゆき氏によれば、欧州のゲーマーが求めているのは、お金で強いキャラを引くことではなく、純粋なアクション性や戦略性です。例えるなら、くじ引きのワクワク感より、チェスのような頭脳戦が好まれる、といったところでしょうか。海外発のゲームが世界で強いのもうなずけます。
ソシャゲが「ドラクエ」になれない理由
皆さんは、昔遊んでいたスマホゲームのグッズ、今でも買いますか? おそらく「NO」という方が多いはず。
ここには、ソシャゲならではの構造的な弱点があります。ドラクエや名作漫画は「あの物語に感動した!」というポジティブな感情とともに記憶に残りますよね。だから何年経っても愛される「IP(知的財産:キャラクターや作品のブランド)」に育つんです。
一方、ソシャゲの終わり方はどうでしょう。「なんか飽きたな」「ガチャで爆死して嫌になった」と、ネガティブな感情でアンインストールされることがほとんど。これでは、何十年も愛されるブランドに育てるのは至難の業です。
「売り場」を握る者が世界を制す
今の時代、本当に強いのはコンテンツを作る人ではありません。それらを届ける「プラットフォーマー」です。AppleやGoogle、Netflixなどを思い浮かべてみてください。
スーパーに例えるなら、どんなに美味しい野菜(コンテンツ)を作っても、巨大なスーパー(プラットフォーム)の棚に置かせてもらえなければ、誰の口にも入りません。ひろゆき氏はここで、日本の出版業界にチクリと苦言を呈しています。
「日本の大手出版社が手を組んで、世界規模の漫画の定額読み放題サービスを作っていれば勝てたのに」。各社のプライドが邪魔をして、その「巨大なスーパー」を作る絶好のチャンスを逃してしまったというわけです。なんとも、もったいない話ですよね。
SNSが「天才」を殺している?
個人的に一番ハッとさせられたのが、クリエイターと「狂気」の話です。
心に残るものすごい物語というのは、現実離れした「頭の悪い情熱」や、社会とうまく馴染めない鬱屈としたエネルギーから生まれることが多いもの。しかし現代は、ちょっとした愚痴やモヤモヤも、SNSでつぶやけばすぐに発散できてしまいます。
ガス抜きが簡単にできる社会は、生きやすいかもしれません。でもその分、爆発しそうなエネルギーを作品にぶつけるような「狂気を持ったクリエイター」は、生まれにくくなっている。この指摘は、とても鋭いと思いませんか?
「mixi」の看板をあえて外した過去
最後に、木村社長から驚きの裏話が飛び出します。
モンストが大ヒットした当時、実は会社名である「MIXI」の名前を意図的に隠していたそうです。「XFLAG」という新しいブランド名を前面に出して。なぜなら、当時の「mixi」には「昔流行った古いSNS」というネガティブなイメージがついてしまっていたから。
新しいものを若者に届けるとき、古い看板は足かせになる。これはエンタメに限らず、あらゆるビジネスに共通するシビアな現実ですね。
このように、ゲーム業界のトップとネットの論客による対談は、日本のエンタメが抱える痛いところを突きつつも、未来へのヒントが詰まった非常にエキサイティングなものでした。
私たちが普段何気なく楽しんでいるゲームやアニメの裏側では、こんなにも激しい生存競争が繰り広げられているのですね。あなたはこの対談から、どんな未来を感じましたか?