独占か、オープン化か。AIビジネスの未来と「降りられない」開発競争


最近のAI開発の裏側で、実はとんでもない規模の「赤字」が垂れ流されているのをご存知ですか?

今回は、動画内で岡本さんとナカイドさんが交わした「AIビジネスのシビアな現実」についての議論を紐解いてみましょう。経営者としての鋭い視点を持つ岡本さんと、ユーザー目線で実務に触れるナカイドさん。二人の意見がぶつかり合う、非常にスリリングな展開です。


5年で43兆円。底なしのAI投資

まず衝撃的なのが、その赤字額です。
動画で言及されたリーク情報によると、某大手AI企業は今後5年間でなんと「43兆円」もの赤字を出す可能性があるそうです。43兆円。ちょっと想像もつかない桁ですよね。

現在、私たちはとても賢いAIを無料で使ったり、せいぜい数千円のサブスクリプションで楽しんだりしています。しかし裏を返せば、企業側からすると「使われれば使われるほど赤字が膨らむ」という、出血大サービス状態が続いているわけです。


この巨額の赤字、誰がどうやって回収するの?

ここから、二人の意見が真っ向から分かれ始めます。

ビジネスの酸いも甘いも噛み分けた岡本さんは、「どこかで絶対に投下した資金を回収しなければならない」と主張します。彼が見立てる回収のシナリオはシンプルです。

ライバルを蹴落として「1強(完全な独占状態)」を作り出し、その後に利用料をドカンと値上げするしか道はないだろう、と。

一方、実務家であるナカイドさんは少し違う未来を見ています。

「いや、そこまで大きく値上がりすることはないでしょう」と彼は言います。なぜなら、今のAI技術はどんどんオープンソース化(誰でも中身のプログラムを触れる状態)が進んでいるからです。

さらに、自分のパソコンで動かせる手軽な「ローカルモデル」も急速に賢くなっています。

つまり、どこか1社が超高額な料金を設定したとしても、ユーザーは安いサービスに逃げるだけ。結果として値上げ戦略は破綻するのではないか、というのがナカイドさんのリアルな指摘です。


焦る企業と「9%」の社債

とはいえ、開発競争を生き抜くには「今、この瞬間の現金」が必要です。

ここで岡本さんが例に挙げたのが、ソフトバンクグループの資金繰りの異常さでした。

彼らは「年利9%超」という、非常に高い金利で社債(投資家からお金を借りるための借用書)を発行しています。手堅いとされる株式投資の利回りが平均8%程度と言われる中、あえて9%以上を約束する。これって、何を意味するのでしょうか?

答えは「そこまで条件を良くしないとお金が集まらないほど、切羽詰まっている」ということです。AIという底なし沼に投資を続けるための、ヒリヒリするような綱渡りが透けて見えますよね。


大赤字なのになぜやめない?「AI=核兵器」論

「そんなに赤字なら、いっそ開発をやめればいいのでは?」

普通ならそう思いますよね。でも、彼らには絶対に降りられない理由があるのです。岡本さんは、現在のAI開発を「核兵器の開発競争」に例えました。

AIの進化は、サイバー攻撃の高度化や軍事力に直結します。もし自国が「お金がないから」と開発をストップしても、他国が開発を続ければ、どうなるでしょうか。圧倒的な力関係の差が生まれ、国家の存亡に関わります。

もはや一企業が「儲かる・儲からない」で判断できる次元を超えてしまっているのです。安全保障がかかった、絶対に降りられないチキンレース。

「最終的には、国家予算が投入されて国が買い取るような形にならないと終わらないのではないか」。

岡本さんのそんな推測には、妙な生々しさがありました。

私たちが普段、仕事や趣味で何気なく便利に使っているAI。その裏側では、国家や巨大企業を巻き込んだ凄まじいサバイバルゲームが繰り広げられています。

皆さんは、この「終わりの見えないAI開発競争」、最後はどんな結末を迎えると思いますか?