画面の向こうの「異世界」を、私たちの日常へ
「ゲームの世界観をそのまま現実に持ってくる」。もしIPライセンスチームの役割を一言で説明するなら、この言葉に尽きます。
私たちが手がけているのは、画面の中にいる生徒(キャラクター)たちや彼女たちの過ごす背景を、実際に手で触れ、耳で聞き、肌で体感できる形へと具現化することです。取材で身につけている衣装も、まさにその結晶のひとつ。統括プロデューサーが描いた壮大な世界を、現実の質感へと落とし込んでいく仕事です。
もちろん、ゲーム開発会社である私たちだけで完結する話ではありません。ゲームの運営や配信を担うのは、日本・中国ならYostar、その他の地域ならNEXON Koreaといった各地域のパブリッシャー(販売元)です。開発側である私たちの使命は、作品が持つ価値や世界観の「芯」がブレることなく、パートナー企業やファンへ正しく届くように舵を取ること。
「なぜこれを作るのか?」という企画の立ち上げから、進行管理、さらにはビジネスとしての収益性まで。一連の流れをまるごと見届けるプロジェクトマネージャーのような立ち位置で、日々作品と向き合っています。
「検収」と「監修」はまったく違う
採用情報の業務内容を見ると、キャラクターの選定から衣装やヘイロー(頭上の光輪)の造形チェック、プロモーション動画やグッズ販売に至るまで、驚くほど幅広い工程が並んでいます。
ここでよく混同されがちなのが、「検収」と「監修」の違いです。読者の皆さんは、この2つの違いをパッと言い分けられるでしょうか?
検収(ルール通りの確認):「ヘイローの傾きが設定とズレているから元に戻す」といった、あらかじめ決まっている基準に沿って正しさをチェックする作業。
監修(クリエイティブな提案):「今回の企画の文脈なら、ホシノやシロコを起用したほうがファンの心に刺さるのではないか」と、作品をさらに魅力的にするためのアイデアを注ぎ込む作業。
定規を当てて測るような「検収」に対し、「監修」は答えがひとつではないクリエイティブな議論です。だからこそ、パートナー企業と意見が食い違うことも珍しくありません。最初の企画段階で方向性をしっかり固めておかないと、後半で収拾がつかなくなってしまう。まさに「初めが肝心」を地で行くシビアな現場でもあります。
求めるのは「学歴」より「絆ランク50」
海外展開を進めるにあたり、日本語や中国語といった語学力は確かに実務で役立ちます。しかし、資格の有無そのものは必須ではありません。大切なのはペーパーテストの点数ではなく、現場で意図を伝え合える生きた対話力です。
それ以上に私たちが重視しているものがあります。それは、サブカルチャーへの深い愛と解像度の高さです。
採用の場では、少し話せば「本当に作品やカルチャーが好きなのか」がすぐに伝わってきます。部屋いっぱいに並んだフィギュア棚の写真を見せてくれたり、総力戦の順位やトロフィー実績を熱く語ってくれたり。自分の情熱がどう業務に活きるのかを証明できるなら、どんなアピールも歓迎です。極端な話をすれば、立派な学歴を並べられるよりも、「生徒との絆ランク50」を提示されたほうが私たちの心には強く響きます。
「好き」を尊重し合えるからこそ生まれる議論
チーム内には、個人のこだわりを否定せず受け入れる土壌があります。
例えば、スタンプ制作の担当になったとしましょう。どのキャラクターを登場させ、どのイラストレーターに依頼するかといった裁量は、基本的に担当者本人に委ねられます。責任は伴いますが、自分の手で世界を形作っていける面白さは格別です。
社内では、食事のたびに熱いオタクトークが交わされています。
「自分はメガネキャラが好きなんですよね」
「えっ、どうしてわざわざメガネをかけさせるんですか?」
そんな好みのぶつかり合いすら日常茶飯事。トレンドへのアンテナも常に研ぎ澄まされていて、話題のアニメ映画を観ていないと「まだ観てないの!?」と上司から突っ込まれるほどです。
統括プロデューサーとも毎週ミーティングを行い、トップの描くビジョンをダイレクトに受け取りながら実務へ落とし込んでいます。週末になれば同人誌即売会へ足を運び、会場でばったり社内のメンバーと遭遇して「MMORPGのすれ違い挨拶」のように軽く会釈を交わす――そんなカルチャーが息づいています。
「好きなこと」を仕事にする覚悟
「オタクにとって夢のような環境ですね」と言われることがあります。
確かに、ユーザーの反響を毎日チェックし、グッズに囲まれ、イベントに関わる日々は刺激的です。けれど、趣味を仕事にするということは、単に「楽しい」だけでは済まされません。
自分の「こうあるべきだ」というこだわりと、ビジネスとしての制約やパートナー企業の事情。その板挟みになり、理想通りにいかない現実に直面することも多々あります。だからこそ、純粋な趣味としての楽しさと、責任ある仕事としての思考をしっかりと切り替えられるバランス感覚が欠かせません。
ちなみに、社内グッズの優遇購入のような特権はありません。私たちもすべて自費、定価で購入しています。限定品が出れば「まずはユーザーの手に行き渡るように」と、社員は購入を控えることもしばしば。ファンと同じ目線で、時には悔しい思いをしながら作品を支えています。
朝起きてから眠るまで、すべてをブルアカで満たしたい
私たちの究極の目標は、「日常をブルーアーカイブで染め上げること」です。
朝、キャラクターをイメージした服を着て出勤し、アビドスのタンブラーでコーヒーを飲む。仕事帰りにイベントへ立ち寄り、夜はゲヘナのクッションを抱いて眠りにつく。そんな風に、ファンの皆さんの日常に作品が自然と溶け込んでいる状態を目指しています。
ゲームというエンターテインメントは、愛され続けてこそ価値が宿ります。5年、10年とサービスが続いていくように、現実世界の中に確かな足跡を残し、作品の息吹を長く灯し続けること。
イベント会場でファンの皆さんが上げてくださる歓声や、笑顔を見るたびに、胸の奥が熱くなります。その熱量を糧に、定年を迎えるその日まで、先生(プレイヤー)の皆さんと一緒にこの世界を育てていきたいと思っています。