スキマバイトでおなじみのタイミー(215A)


スキマバイトでおなじみのタイミー(215A)。

いま、その舞台裏でプロの投資家たちによる静かで激しい攻防が繰り広げられているのをご存じでしょうか。

数字を追っていくと、なかなか興味深い構図が見えてきます。

現在、外資系投資ファンドなど「機関投資家」と呼ばれる市場のプロたちが抱えているタイミーの空売りポジションは、全体の約5〜6%。空売りとは、株価が下がると利益が出る取引のことです。つまり、彼らは「この株はもう少し下がるかもしれない」と見込んで、株を借りて売っています。全体の5%を超える水準というのは、日常で例えるなら「1クラスに2〜3人ははっきりと異論を唱えている人がいる」くらいの、無視できない緊張感です。

ところが、そのプロたちの足並みは決して揃っていません。むしろ、真っ二つに割れています。

強気の姿勢を崩さないのが、ゴールドマン・サックスやシティグループといったアメリカ系のメガ金融機関です。ゴールドマン・サックスは発行済み株式の約1.76%(約177万株)もの空売りを積み増しており、シティも1%台へとジワリと圧力を強めています。「まだまだ上値は重い」と見て、上からフタをしにきている状態ですね。

その一方で、サッと潮が引くように手を引いたプレイヤーもいます。スイスの大手UBSです。彼らは直近で一気に株を買い戻し、空売りの割合を0.36%まで急減させました。日本のルールでは、空売り比率が0.5%を下回ると「報告義務」がなくなり、市場のレーダーから姿を消します。UBSは利益を確定させたのか、あるいは損失を嫌ったのか、すでにひと足早く戦場を後にしました。

プロの間でも、ここから下がるのか、それとも底を打つのか、完全に意見が割れているわけです。

では、この状況は私たち個人投資家にどんな影響を与えるのでしょうか。

ポイントは、急な反発リスクです。

空売りをしている機関は、いつか必ず市場から現物株を「買い戻して」返却しなければなりません。もしタイミーの業績や好材料をきっかけに株価がピクッと跳ね上がると、売り手たちは一転して損失を防ぐために一斉に買い戻しへ走ります。これがいわゆる「ショートスクイーズ(踏み上げ)」と呼ばれる現象です。売り方の買い戻しがさらなる上昇を呼ぶ、ジェットコースターのような急騰が起きる火種を常に抱えていると言えます。

上からフタをして押さえ込みたいゴールドマンたちと、どこかで反発を狙う買い手、そして逃げ足を速める他の機関。

タイミーの株価チャートを見るときは、そのローソク足の向こう側に、こうしたプロ同士の息詰まる心理戦が張り巡らされていることを意識してみると、相場の景色がぐっとリアルに見えてくるはずです。