マイケル・バーリー(『ビッグ・ショート』のモデルとなった投資家)が本日共有した視点に触れられていますね。
アルファベットが巨額の負債に踏み切ったタイミングと、かつて「100年債」を発行して頂点を極めたテック巨人の歴史的な類似性を指摘するのは、非常に鋭い考察です。
1997年当時のモトローラは、まさに現在のアルファベットのような「絶対王者」でした。あなたが挙げたデータをもとに、その比較を整理してみます。
モトローラとの共通点(1997年 vs 2026年)
1997年、モトローラは「企業の傲慢(コーポレート・ヒュブリス)」と「技術の陳腐化」の象徴的なケーススタディとなりました。
* 100年債の発行: モトローラは1997年に100年債を発行し、支配力が揺らぎ始めたまさにその瞬間に、1世紀にわたる債務を確定させました。
* 当時の地位: おっしゃる通り、1997年当時のモトローラは時価総額・売上高ともに全米トップ25に入る超大企業でした。ブランド力調査ではマイクロソフトを抑えて全米1位になるほど、消費者からの信頼も絶大でした。
* 転落の引き金: 発行からわずか1年後の1998年、ノキアに携帯電話のシェア首位を奪われました。アナログからデジタルへの移行の遅れ、そして後のiPhone登場に代表されるスマートフォン革命への対応失敗が、かつての「永久不滅」と思われた企業を衰退へと導きました。
アルファベットの「100年債」戦略
現在、アルファベットがポンド建ての100年債を発行しようとしている背景には、AI(人工知能)開発の軍拡競争があります。
* 目的: 2026年単年で**1,850億ドル(約28兆円)**という驚異的な設備投資(CapEx)を賄うための資金調達です。
* 市場の反応: 「バーリーの警告」にもかかわらず、市場の需要は旺盛です。今回のアルファベットの債券発行には1,000億ドル以上の注文が集まったとされており、年金基金などの機関投資家は、Googleの「堀(競争優位性)」がまだ100年は続くと賭けているようです。
今日のモトローラ
かつての統合的な巨大企業としてのモトローラは、実質的に消滅しています。2011年に、携帯電話部門(現在のレノボ傘下)と、法人向けのモトローラ・ソリューションズに分割されました。
* 現在の姿: 米国株として残っているのは「モトローラ・ソリューションズ(MSI)」です。公共安全や無線通信に特化した安定企業ではありますが、売上高は約110億ドル、時価総額順位も230〜240位付近となっており、1997年の輝きからは程遠い規模です。
テック業界において「100年債」を発行するということは、「今の王者が決して引きずり下ろされない」という賭けに近いものがありますが、歴史が教える通り、その賭けが報われることは稀です。