財産・損害(P/C)保険業について

  • 1967年にNational IndemnityとNational Fire & Marineを買収して以来、P/C保険業はBerkshireの成長を推進するエンジンとなっている。現在では、National Indemnityは純資産で見たP/C保険会社として世界トップである。
  • P/C保険事業が魅力的な理由の1つは、先に保険料を回収して後で補償金を支払うというビジネスモデルである。これにより、保険会社には自由に運用できる巨額の手持ち金が入ってくる。さらに、常時出入金があっても、手持ち金というのは大体契約数に比例して一定額を保ちつつ事業とともに成長する。以下の通りだ。
  • 巨額を一度に支払わなくてはならない状況にならないように契約が組んであるため、手持ち金が減ることがあったとしても大きく一度に減ることは決してない。また、支払金が保険料より少なければ当然利益になる。
  • P/C保険業界では手持ち金を債券で運用することが多いのだが、金利の低下に伴い、5-6%あった手持ち金のリターンが2-3%になってきている。多くの保険会社にとって金利の低下は痛手であり、格付けが低い債券に買い替えてリターンをあげようとすることもある。だが、これは危険なゲームになりかねない。その点、有り余る資金を持つBerkshireは有利で、他社には得られない投資機会を活かすこともできる。
  • アスベストの件のように大きなリスクを長期間抱えたり、ハリケーン・カトリーナのような大災害が起こる可能性は確かにあり、BerkshireのP/C会社も大きな損害を被るかもしれない。しかし、BerkshireのP/C会社の場合、他社と違って資金の枯渇につながることにならない。Berkshireはむしろ翌日には(破産した)他社をポートフォリオに加える気満々なのである。
  • 2012年の終わり頃、保険事業を率いているAjit JainがGUARD Insurance Groupという小さな会社を2.21億ドルで買収すると連絡してきた。CEOのSy Foguelの活躍も期待できるという話だった。私はGUARD InsuranceもSy Foguelも聞いたことがなかったが、この買収は大当たりで、GUARDの保険料総額は2012年から379%伸びて19億ドルになるまで成長した。