「うちは“IP”の会社ではなく、“コミュニティ”の会社だ」


谷郷氏:
VTuber自体が、既存のゲーム技術を活用したサービスでもありますしね。

青海氏:
実際、働いている方もゲーム業界出身の方がすごく多いですし。

──産業としてのVTuberは、ゲーム業界など他業種とのコラボレーションによって作り上げられていった側面があるのですね。

谷郷氏:
はい。クリエイティブ系のメンバーや運営は、結果的にゲーム業界出身者ばかりになっています。結局、3Dモデルをリアルタイムで動かす技術をもつ業界は、ゲーム業界以外にはありえませんから。その上にテレビ局や音楽関係の技術をもつ人たちが一部融合していますね。

スタジオでいうと、バーチャルセットのようなものはゲーム業界出身の人たちが作っていますが、運用しているのはテレビ局出身のディレクターだったりします。各分野で「ゲームの技術をどう使うか」という視点が常にあります。

個別のプロジェクトで言えば、『ホロアース』の開発陣はコンシューマー系の出身者が多いですね。それ以外のプロジェクトでは、モバイルゲームやオンラインゲーム出身の人が多いのも特徴です。ゲーム実況ではPCゲームを扱うことが多いので、比較的PCゲーム業界の人たちのほうが、我々に興味を持っていただきやすいところもあるかもしれません。

青海氏:
多分、これだけ技術的にミックスされた会社はなかなかないですよね。いろんな業界出身の人が横並びになったときに、毎日の“化学反応”が本当にすごいんですよ(笑)。

谷郷氏:
そうですね、いい意味で謎な感じ(笑)。そのうえで、技術の横断もかなり発生しています。

青海氏:
現在のカバー株式会社には、日本でしか成立しないような人材が集まっているとも感じています。日本という場所には、ゲーム開発者をはじめ、アニメ業界・エンタメ業界の人材が多くいます。この環境が他国で実現できたかというと——私はできなかったのではないかと思います。日本が何十年もかけて培ってきた「ゲームやアニメで育った世代」が、今ここに集結している感覚がすごくあるんです。

谷郷氏:
「ホロぐら」を作っているのも、ニコニコ動画で賞を取っていた人ですしね。

青海氏:
日本のカルチャーがここに積み重なっている感覚があります。「こんなにテクノロジーが詰まっているんだ」と思ったのも、入社してからの驚きでした。「私たちが何気なく見ているVTuberは、いろんな業界の技術の集大成で作られているんだ」と。

谷郷氏:
holo Indieなどのゲーム事業も基本は同じで、あれも“ゲームを軸にしたタレント、クリエイター、プレイヤーのコミュニケーションマーケティング”の一つなんです。もともとホロライブ自体はコミュニティマーケティングの土台が非常に強いコンテンツだったので、そこでも「ゲームクリエイターさんをどう巻き込んでいくか?」を考えています。

コミュニティで受けるゲームをどう作っていくか。SNSでどう話題にしてもらうか。RTA企画やランキングイベントなど、「ただゲームを遊ばせるだけではなく、コミュニティをどう活性化させるか」を常に意識しています。これは課題であり、今後も続けていくテーマです。ずっとコミュニティを意識してやってきたので、それはゲーム事業でも同じですね。

「うちは“IP”の会社ではなく、“コミュニティ”の会社だ」というのは、これまでもよく伝えてきました。

青海氏:
『ホロアース』という観点でお話しすると、特に海外のファンの皆さんは、これまでタレントさんと時差的にも物理的にも距離があることを残念に思われていた部分があったと思います。『ホロアース』の技術には、それを解決できる可能性があって、すでに一部は実現もしています。

「物理的にイベントやライブに行けない」というお客様の声は本当に多くいただいています。そういった皆さんの夢をなんとか実現していきたいと思っていますし、今後も楽しみにしていただければと。まずは皆さんに、現状の『ホロアース』を触っていただきたいです。

谷郷氏:
弊社とコラボレーションしたいクリエイターさん、ゲーム開発会社さんがいらっしゃれば、ぜひお声がけいただきたいです。やっぱり“好き”でいてくれる方がいいんですよ。好きな人たちとコラボしていきたい。これは日本だけでなく海外の方も、企業だけでなく個人の方も、もちろんウェルカムです。

これからもさまざまな形で、皆さんに楽しんでいただける、あるいは繋がるきっかけとなるゲームを、協力するクリエイターさん・会社さんと一緒に届けていきたいと思っています。まだ遊んだことがない方は、ぜひ一度 holoIndie のタイトルなど遊んでみてください。新作も楽しみにしていてください。