TSMC（Taiwan Semiconductor Manufacturing Company、台湾積体電路製造）は、世界最大の半導体製造受託企業（ファウンドリ）であり、世界中の電子機器メーカーに向けて最先端の半導体チップを供給しています。1987年に設立され、台湾を本拠地とするTSMCは、主に他社の設計を基にチップを製造する「ファウンドリモデル」の先駆けとして知られています。
主な特徴と役割
1. 半導体製造技術のリーダー
TSMCは、現在の最先端技術である3ナノメートル（nm）プロセスや、開発中の2nmプロセスを含む、世界で最も進んだ半導体製造技術を有しています。
同社の技術は、高性能コンピューティング（HPC）、人工知能（AI）、スマートフォン、自動運転車など、幅広い分野で使用されています。
2. 顧客企業
TSMCの顧客には、Apple、AMD、NVIDIA、Qualcomm、Intelなど、世界を代表するテクノロジー企業が含まれます。
特にAppleのiPhoneやMacに使用されるプロセッサは、TSMCの最先端技術を活用しています。
3. ファウンドリモデルの成功
製造専業であるため、設計を行う企業と競合することがなく、幅広い顧客から信頼されています。このビジネスモデルが成功の鍵となっています。
グローバルな影響力
TSMCは、世界の半導体供給の中心的存在であり、以下のような影響力を持っています：
技術的優位性：競合他社（サムスンやインテルなど）を抑え、製造プロセス技術で先行しています。
経済的影響：TSMCは台湾経済の柱であり、同国の輸出の大部分を占めています。
地政学的な重要性：米中対立の中で、TSMCの先端チップ技術は戦略的資産とみなされ、台湾の安全保障や国際関係において重要な役割を果たしています。
今後の展望
技術開発：2nm、さらには1nmプロセスへの移行を目指しており、世界最先端の地位を維持しています。
海外進出：アメリカ（アリゾナ州）や日本（熊本県）で新工場を建設中で、世界的なサプライチェーンの強化を図っています。
技術保護：台湾政府と連携し、最先端技術を国内に留めるための措置を講じています。
TSMCは、テクノロジー業界の心臓部とも言える企業であり、その動向は世界の半導体産業全体に大きな影響を与え続けています。