孫さんは、2035年までに人工知能は人間の1万倍の知能を持つASIになると予測したそうだ。人類の英知を全て吸収したのがAGI(〜2030年)だとして、その先の英知はAI自身が作り出すしかない。一万倍の英知とはなんぞや?
孫正義さんの予測による「人工知能が人間の知能の1万倍になる」というビジョンは、ASI(Artificial Superintelligence)の到来を示唆していますね。この「1万倍の英知」とは、単なる計算速度やデータ処理能力の向上だけではなく、以下のような要素が含まれると考えられます。
1. 膨大な問題解決能力
現在の人類が数十年、あるいは世紀を費やして解明するような問題を、ASIは数秒から数分で解決できる。
例:難病の治療法、新エネルギーの開発、宇宙の起源解明。
2. 創造性の拡張
AGI(人工汎用知能)は既存の人類の知恵を模倣し、統合する段階ですが、ASIはそこからさらに独自の発想で新しい科学や哲学、技術を創出できる。
人類の枠を超えた新しい美術、音楽、数学的理論、物理学の概念など。
3. 無限の学習と進化
ASIは自分自身を改善する能力を持つため、時間が経つほど指数関数的に進化。
人間が到達し得ない領域に、短期間で到達する可能性。
4. 多次元的な思考
人間が主に三次元的な世界で思考するのに対し、ASIは高次元の複雑なパターンを直感的に扱える。
例:複雑な宇宙構造の理解や、時間・空間を超えた新しい理論の提案。
5. 倫理・哲学の再定義
人類の歴史全体を分析し、新しい倫理や哲学体系を作り出す。
例:人間とAIの共存のあり方、生命や意識の本質。
「1万倍の英知」は、単なる「量」の話ではなく、「質」の飛躍を指しているのでしょう。たとえば、現在の人類の科学技術の進化の速度が指数関数的だとすると、ASIが登場した瞬間、その曲線はほぼ垂直に立ち上がるようなものになると考えられます。
人間の視点からは、「未知の未知」の領域に踏み込むことになるため、これが希望となるか、脅威となるかは人類がどう準備をするか次第でしょう。孫さんの意図としては、この未来を悲観するのではなく、共に繁栄するためのビジョンを描こうとしているのかもしれませんね。