【CyberTwitterX】AIによる著作権の侵害は、漫画家として対抗しなければいけない「悪」【荒木飛呂彦】


「社会の悪」ということに関連して言うと、これからAI が社会に広がっていくことで、それを利用した詐欺師が跋扈する怪しい世界がますます増えると思います。 この前、「これ、俺が描いたよな」という絵を見たのですが、実はAIで描いたものだと知って驚きました。

僕が漫画を描くときは、ちょっと自分らしさの印になるようなものを絵に入れています。でもその絵は「この辺のまつ毛の感じ 、俺の絵だよね」というところまでそっくり真似をしていて、本当に見分けがつかないのです。

最近の絵だったら「いや、こんなの描いてないよ」とすぐわかりますが、 10年くらい前の絵でこれをやられたら、記憶も曖昧になっているので、もう全然わかりません。

今後、AIが進化すればするほど、こういうことが増えていくでしょう。

AIによる著作権の侵害は、漫画家として対抗しなければいけない「悪」でもあります。

極端な話、AIが作った偽物が「こっちが本物だ」と受け入れられていくかもしれませんし、自衛するといっても、ここまで精巧で巧妙なフェイクが出てくると、もはや個人では太刀打ちできません。

おそらく、なんらかの法律で規制するしかないでしょう。ただ、詐欺師の世界ですから、いつの間にか彼らに有利な法律ができていたりする可能性も十分あり得ます。

僕自身は著作権の管理を集英社に依頼していますが、漫画家の中には、著作権の管理が甘くて、絵を勝手に使われたり、原画を流出させたりしている人もいます。

そうやって軽く考えていると、将来、ひどい目に遭ってしまうんじゃないかなと心配です。

この話は海外で先にめちゃくちゃバズってたけど荒木先生が生成AIの問題に声あげる漫画業界の超大御所でも被害が看過出来ない状況なのだな。

"画材"とか"初球中級者の苦情"とか言ってる場合じゃないんだわ。

生成AIはそりゃまっさきに詐欺師が使うでしょう。