たった2枚のパワポの作成に1週間かける


藤田 黒田監督の強さの一つとして高い言語化能力があります。先日も社内で講演をしてもらったのですが、言葉を集めることに苦労されていて1週間ぐらいを費やすそうです。

講演を聞いていてわかったのですが、同じ言葉を言われると辛いですよね。限界まで走った選手が試合に負けて「もっと走れ」と言われたら、もうやってらんないとなるわけです。

黒田監督の場合は話の視点を変えて、言葉を変えて、一人ひとりに伝えていく。言葉を変えて伝えられると改めて頑張ってみようと思う。でも、長いシーズンを通してかける言葉を変えていくのは大変なことです。

黒田 伝えるということは、伝えられる側がどのような言葉をどのタイミングで聞きたいのかを察知した上で「伝える」ということです。

言いたいことを一方的に伝えたり、相手に響かないタイミングでも強引に伝えたりするのは、伝えたことにはなりません。あくまでも「聞く側」の都合が重要だということです。

指導現場では、パフォーマンスを発揮しやすい言葉や、モチベーションが上がりやすい言葉を選択して伝える必要があるということです。なので、こういう言葉をかけてもらったら自分だったら頑張れるなっていう言葉や情報を探し続けることが私の日課なんです。

試合前のミーティングで使用するパワーポイントのスライド、たった2枚を1週間かけて作成するんですが、士気を上げるために有効な言葉や情報、そのチョイスや効果をずっと考えています。30年の教員生活の中で習得してきた言葉がいっぱいあるんですが、その都度、状況をみて最適な言葉をチョイスしていかなければなりません。

藤田 その準備に1週間かける、というのが凄い。