【藤田晋】結局、仕事が寄ってくる。いざ始めれば周辺でビジネスが広がっていく。無邪気に好きなものをやっていくのが一番いい。


 「正直こんなことある!?という感じ。もちろんそんなに甘くないとは思っていたが、シーズン約4分の1を終えて首位にいるのは全く想像しなかった」

 「選手の力を引き出している意味を含め、やはり黒田監督の指導力が大きい。言葉が豊富だし、負けないために全てをやり尽くす“徹底力”を感じる」

 「当初はJ2に戻ることだけは絶対避けよう、という話だった。そこから戦力補強が進み半分の10位以上となり、いつの間にか監督が5位以上と上方修正していた(笑い)」

 「夢物語ではなくなってきた。研究されるという人もいるけど、黒田監督はそれを上回る準備を怠らない人。いい戦いができそう」

 魅せるプレーより相手の嫌がることを徹底し、勝利を追求するスタイルには批判的な声もある。だが「そういうものは時が解決すると思っている。話題にならないよりは、ざわついているのは僕にとってありがたいこと」と気にしていない。

 「J2の昨季からJ1クラスの人件費で勝負をかけた。上がると今度は落ちないようにとなり、今季は少なくともJ1中堅レベル。(夏の補強も)勝ち抜くために手薄なところをどうするか、監督や強化と話していく」

 「リーグの価値を上げるためにそういう選手を連れてきてほしいとJリーグからの期待も感じるので応えたい気持ちもある。ただ、スター選手を並べれば勝てるわけではない。そこはリアリストとして勝てる布陣を考えながら投資に見合うかどうかが大事になる」

 「有力選手が次々と海外に出ていく現状に合わせるなら、オランダのアヤックスのような育成型となる。アカデミーを強化していく方針はあるけど、それを徹底的にやって、売却(移籍金獲得)を中心にしていく方向が正しいかは分からない。経営的な感覚では、売却したら残らないというところが大きく、まだ迷いがある」

 「サッカーに参戦した時から、ACL優勝を目標にしてきた。元々、僕の目を町田に向けさせてくれた本田圭佑くんは“世界から見れば町田は東京だ”と言っていた。名前をとどろかせば、世界的な選手が東京のクラブに来たいと集まってくるはず。世界から見た時に、町田をみんな知っているという状態を目指していく」

 「結局、仕事が寄ってくる。いざ始めれば周辺でビジネスが広がっていく。無邪気に好きなものをやっていくのが一番いいのかな」

 ◇藤田 晋(ふじた・すすむ)1973年(昭48)5月16日生まれ、福井県出身の50歳。青学大卒。98年にサイバーエージェントを設立し、代表取締役社長。馬主として所有するフォーエバーヤングが4日(日本時間5日)に行われた米G1ケンタッキーダービーで日本馬同レース史上最高の3着に入った。