【NEXON】キム・ヨンハプロデューサーがブルーアーカイブを成功させるまでの経緯


キム・ヨンハプロデューサーはかつて、ネクソンのdevCAT studioでマビノギ(2004)やマビノギ英雄伝(2010)のシニアプログラマーを担当した。

その後、プロデューサーの見習いとして3つのプロジェクトに参加するも、1タイトルも日の目を見ることなくプロジェクトは消えたという。

キム・ヨンハプロデューサーはネクソンのプロジェクトの失敗を経験した後、Eyedentity Gamesへ転籍。フルスケールのMMORPG「プロジェクトB6」の開発に2年ほど参加する。プロジェクトB6はプロトタイプが作られるまでは進んでいたが、結局開発は中止され、プロジェクトB6は幻のMMORPGとなった。プロジェクトB6は社内では評判が良かったが、経営陣の考えが変わったために開発中止になったとのこと。

Eyedentity Gamesを離れたキム・ヨンハ氏は、自ら企画書を書いて受け入れてくれる会社を探し、最近では「ロストアーク」で知られるSmileGateに入社。日本で「拡散性ミリオンアーサー」がヒットしていたことに着目し、サブカルチャー志向のモバイルゲーム開発に興味を持つようになったという。

そして、モバイルゲーム「魔法図書館キュラレ」のプロデューサーを担当。

「魔法図書館キュラレのサービスが終了した後、キム・ヨンハ氏は現在のNAT Gamesに入社し、Project MX、すなわちブルーアーカイブのプロデューサーを担当することとなった。

ブルーアーカイブは「日本で成功可能なゲーム」を前提として、2018年に企画が始まった。開発元のNAT Gamesは、どういったゲームがこれまで日本でヒットしたのかを調査し、最近のトレンドではファンタジーよりも現代や近未来を舞台にしたゲームが適切だとわかったという。

2018年当時、多くの美少女コレクションゲームは「萌え擬人化」を採用しており、市場が飽和状態だったため、新たに擬人化ゲームを作っても市場でアピールしづらいと判断して、擬人化ではなくキャラクターを新たに生み出す事に決めたという。
また、中国のHypergryphが開発した「アークナイツ」が擬人化作品ではなかったもののヒットした事も良い刺激になったとしている。

ブルーアーカイブの開発コードネームは「プロジェクトMX」で、「MX」は「MOE XCOM(萌えエックスコム)」の略称だった。

XCOM(エックスコム)は、世界的に高い評価を得た戦略シミュレーションRPG。ブルーアーカイブは美少女キャラクターとXCOMをかけあわせたゲームというコンセプトで制作された。しかし、ターン制のXCOMに対して、ブルーアーカイブはリアルタイムの戦闘システムが採用された。

ブルーアーカイブはどの地域よりも先に日本でサービスが開始された。日本で成功した萌えゲームなら韓国でも成功するだろうという考えがあったという。

NAT Gamesは「オーバーヒット」というモバイルゲームを以前に開発したが、オーバーヒットは日本市場で思ったよりも成果が出なかったという。これを受けて、サブカルチャージャンルのゲームは最初から日本市場を狙った方が良いと判断し、ブルーアーカイブを日本で先に展開する決断に至ったとのこと。