【藤田晋】「今25歳だったら、何をするだろうか」【CyberAgent】


一方、24歳で起業し、26歳で上場を果たした藤田氏も「今の(本田さんの)話を聞いてやはりバイアウトかなと。ゼロからはじめて、形にしてそれを売却し、また次に取り組むというのが成功するパターン」と話す。

平石氏が「藤田さんはインターネットの世界から、麻雀やヒップホップ、競馬など、さまざまな事業を展開している」と藤田氏が取り組んできた事業内容に触れると「自分の趣味がことごとく会社の事業になっているが、(会社を立ち上げた)当時は、こんなことになるなんて夢にも思っていなかった。会社というのは、利益や規模が大きくなり、周りの信頼を得て、社長がリーダーシップをとりやすくなってくると、やりたいこともできるようになってくる。その中でも自分が精通している分野は形にしやすい」(藤田氏)とコメントした。

続けて、起業した24歳当時を「インターネットがすごく伸びていた時期。この事業に入ってくれば得をしたような状況だった。自分の起業とインターネットが一気に伸びるタイミングがたまたま合致した。これは実際に運が良かったと思う。ただ、今自分が25歳で起業するならと考えると(事業の中心にすえるべきものが)本当にないなと。DXやAIは今が本命の大きな産業だが、大企業が深く関わる分野で、スタートアップが食い込める部分は意外と少ない」(藤田氏)と現状を分析する。

その中で藤田氏は「起業するなら伸びている産業を選ぶのが良い。ただ今伸びている産業があまりないので、まず考えられるのは海外で起業すること。もう1つは、日本が世界で最も素晴らしいものを作れる、アニメなどに可能性があると思う。海外に出るか、世界中から日本に買いにきてもらえる分野を探すかの二択になると思う」とした。

サイバーエージェントは26年間増収を続けている。それに対し藤田氏は「右肩上がりに拡大すると決めているので、伸びる産業をチョイスしていかないといけない。そこは人一倍意識している」とコメント。本田氏が「AIは最近どうですか」と尋ねると「AIは本当にド本命だと思うが、以前のネットビジネスのようにスタートアップが勃発するような雰囲気は感じていない。大企業がAIによって、より競争力を持つものを生み出せるかどうかが大きい」とした。

会場では本田氏が「(藤田さんは)コントロールできない人もグループ内に置かれるイメージがある。そういう人たちに対し何を期待し、マネジメントしているのか」と尋ねる場面もあった。

藤田氏は「基本的に自分で決めて自分でやってもらって、それでモチベーション高く仕事をしてもらうことでパフォーマンスを上げるという考え方。モチベーションは落とせないので、個性を生かし、自己責任で自由にやってもらっている。そこを許容できなければ面白いものは出せない」と自らのチームビルティングについて話した。

最後に平石氏が「改めて今25歳だったら何をするか」と聞くと藤田氏「私が起業した当時はネットビジネスが注目を集めていたから、あっという間に注目されたが、今そういった分野はなかなかない。そう考えると、今話題の中心であるSNSを使って何か有名になる、注目されることから始める。まず注目され、価値がある人間にならないと次に進めない」とした。