ABEMAのコンテンツをNetflixに出した背景

今、黄さんに言ってもらったNetflixに出した背景を言いますと、『オオカミちゃんには騙されない』と『韓国ドラマな恋がしたい』の2作品を、Netflixに出すことになりまして。


もともと、ABEMAで世界基準のものを作ろうとずっと掛け声を掛けてやってきたんです。今回、Netflixで世界に配信して、Netflixの世界ランキングに食い込むという目標を立てることで、社内の意識を変えるのも大きな目的でした。


さっき言ったうちの社員だった小柳津さんがバチェラー(Amazonプライム)に出た時に、僕と談笑したり表彰式とかで話すシーンを、けっこうな撮影クルーですごい撮っていったのが原体験にあるんですけど。


オンエアを見たら、小柳津がすごいところを見せる一瞬に、僕と談笑してる姿が使われた。「これだけのためにあのクルーで」ってびっくりして、やはり制作に対する金の掛け方と意識。このもったいない俺の使い方は何なんだって思って(笑)。

今の質問の話で言うと、会社として狙っているのはアニメです。ディズニーとピクサーはまた別物として捉えると、今、中国で売れている『SLAM DUNK』や『すずめの戸締まり』など、世界でも明らかに日本のアニメはトップクラスです。


ゲーム化したり、世界的に販売ができる流れは、この数年、10年も経っていないぐらいの間に変わってきたものです。


我々としては、ABEMAですでに新作アニメの多くを最速配信していますし、グループには『ウマ娘』を作っているアニメーションスタジオなどもあって、十分な体制ができたということで、アニメの世界は大きく狙っている1つですね。


Netflixに出したのもそうですけど、やはりNetflixなので、世界で見られるんですよね。自社のプラットフォームで世界に当てようという発想はすばらしいですけど、「宝くじを当てます」と言っているようなものなので。


現実的に、1つ目のシナリオはABEMAが世界で流行ることですけど、そうではないシナリオは他のプラットフォームに乗せてでも出していくことなので。アニメはプラットフォームは何でもいい。世界で見られればいいという発想をしていますね。


これはけっこうシンプルだと思っていて。正直に自分の会社を見たら、来年も伸びているかとか、3年後大丈夫かとか、4年後、10年後大丈夫かはわかるはずですよね。


でも不都合な事実から目を逸らしてはいけなくて。要はリスクがあったら潰しておかないといけないし、伸びが足りないんだったら新しい事業を仕込んでおかないといけない。


目の前の利益を犠牲にしたり、経営リソースを犠牲にしてそれをやるのはけっこうしんどいからと面倒くさがってやっていないと、当たり前なんだけど、3年後に苦労するというだけの話だと思います。


やらないで現実逃避してしまう経営者の特徴としてわかりやすいのは、調子に乗っている人はだいたいダメになるんですよね。


調子が良い時は自分の運が良かったし、たまたま良い時期だったのかもしれないけど、それを自分の実力だと思い始めるとだいたいおかしくなってしまいます。謙虚な人のほうがやはり長く会社を伸ばし続ける感じですかね。

それはあるんですよ。調子に乗りすぎて楽観的すぎる人もダメだし、悲観的すぎる人も結局ダメです。

わりと平常心。ストライクをちゃんと見極めないといけないんだけど、みんな周りの評価で、長く続けるという意味では上ぶれしたり下ぶれしたりしてしまうので。会社はゴーイング・コンサーン(企業が存続して事業を継続すること)を意識して続けていくつもりだったら、やはり平常心が大事です。

ぶれないと柔軟みたいな、相反することですよね。僕は簡単だと思っています。目の前のことだとみんないろんな考え方もあり、いろんな人がいろんなことを言ってきて混迷する。

そういう時は、視点を上げるというか俯瞰してみる。視点を上げると、例えば中長期の長い目線で見たら、今の生成AIみたいなものが普及するのは当たり前だよねと。これはもうぶれる必要がないのでやればいいですよ。そのへんで事業をやり、普及していく。

その間に著作権の問題とか、生成AIばかり使って人々の思考力が弱まっているとか、何だかんだ自分のポジションが間違っているのではないかとかは柔軟に変えながら、でもトータルではぶれる必要がない。それが普及していくのは当たり前だなと思います。戻ることはない。

伸びそうだなということはほぼ間違いないわけだから、ぶれる必要がないんですけど、そこにおける事業戦略と事業計画は、コロコロ変えても大丈夫ですよ。

歴史がどう転ぶかは誰にもわからないものだから。ちょっと俯瞰してみると、ぶれることと柔軟にすべきことがはっきりするのではないかなと思います。

それはけっこうあります(笑)。事業を選ぶ時はさっき言った成長性と収益性と、あとうちの会社に合うかどうかを見極めながら決めていっています。