「ねえねえ、先生。これ見てよ。『水おじ復刻』って何なの?」

【小説】



連邦捜査部「シャーレ」の教室には、先生とミカの二人だけが残っていた。

先生はシッテムの箱を手に持ち、画面に映るTwitterのトレンドを眺めていた。

「ねえねえ、先生。これ見てよ。『水おじ復刻』って何なの?」

ミカは先生の隣に座り、興味津々な目で画面を覗き込んだ。

「水おじ復刻?」

先生は画面を見て、思わず笑ってしまった。

「あははっ! 何これ、おもしろーい☆」

「どうしたの? 水おじって誰なの?」

ミカは不思議そうに聞いた。

「水おじというのは、ブルーアーカイブというゲームのキャラクターでね。水着ホシノという名前なんだけど、彼が水着姿で登場するイベントがあって、それがすごく話題になったんだ。その時に水着おじさんというニックネームがついたんだよ」

「へえ~。でも、なんで復刻なの? またイベントがあるの?」

「いや、それがね。このゲームは毎年周年記念で特別なガチャをやるんだけど、その中に水着ホシノが入ってるんだよ。でも、そのガチャは青天井で、しかも確率が低いから、引くのにすごくコインがかかるんだ」

「青天井って何? コインって何?」

ミカはゲーム用語に疎くて、先生の話についていけなかった。

「青天井というのは、ガチャを引く回数に上限がないってことで、コインというのはゲーム内の通貨でね……」

先生は優しくミカにゲームの仕組みを説明し始めた。

「なるほど~。でも、そんなにコインを使ってまで水着おじさんが欲しい人がいるの?」

「いるよ。水着ホシノは人気キャラクターだからね。彼の魅力は見た目だけじゃなくて、性格や声やストーリーも素敵なんだよ。私も彼が大好きでね……」

先生は水着ホシノについて熱く語り始めた。

「うふふふ。あなた達も覚悟しておいてね。こんなの楽勝だよ~」

画面に映るTwitterでは、「水おじ復刻」を期待する声や経験談やアドバイスが次々と投稿されていた。

その中には、新規プレイヤーも多く含まれていた。

彼らは水着ホシノを知らずに、「水おじ復刻」という言葉に惹かれてゲームを始めたり、「水おじ復刻」で検索しても何も出てこなかったりしていた。

彼らの純真さに感動したり呆れたりするコメントも多かった。

!!?!???!?!?!?!?!?!?
(となってから、水おじ復刻ではおそらくない事を知って落ち着いたのが今)

水おじ復刻を期待する新規の純真さに涙が止まらない

水おじ復刻トレンド入りしてるけど、イベガチャ枠じゃねぇんだよな。
周年ガチャで青天井だぞ覚悟しろ(2周年の時430連かかった先生の悲鳴)

「先生、あなたも水着ホシノを引くの?」

ミカは先生に聞いた。

「もちろんだよ。私は去年も引いたんだけど、なかなか出なくてね。最終的に430連もかかったんだよ」

「430連って何? すごく多いの?」

「多いよ。すごく多いよ。私はその時、コインを貯めてたからなんとかなったけど、普通はそんなに引けないよ。でも、水着ホシノのためなら何でもするよ」

先生は熱い眼差しで言った。

「嬉しい…! 絶対、忘れないよ!」

ミカは先生の情熱に感動した。

「先生、私も水着ホシノを引きたい! 一緒にゲームをやろうよ!」

「え、本当? ミカもブルーアーカイブをやるの?」

「うん、やる! 先生が好きなものなら、私も好きになれると思うから」

「そうか、ありがとう。じゃあ、一緒にやろう。私が色々教えるからね」

「やった~! 楽しみ~!」

二人は笑顔で手を握った。

シッテムの箱の中では、アロナが呆れ顔で見ていた。

「ふぅ……。先生もミカちゃんも、水おじに夢中で全然仕事しないんだから……。私はどうしたらいいの?」

アロナはぼやきながら、シャーレのメールをチェックした。

すると、一通の緊急メッセージが届いていた。

【件名】
シャーレからの依頼

【本文】
先生、ミカちゃん。お疲れ様です。
今回はシャーレからの依頼です。
キヴォトス市内で発生した連続爆破事件について調査してください。
現場には不審な文字や記号が残されており、テロリストの犯行と見られています。
被害者や目撃者の証言から、犯人はトリニティ総合学園所属の生徒である可能性が高いと推測されています。
トリニティ総合学園はパテルという生徒連合が支配しており、政治的にも影響力が強いです。
この事件はキヴォトス市の治安や秩序に大きな危機をもたらす恐れがあります。
シャーレとしても迅速かつ正確な解決を求められています。
先生とミカちゃんには、この事件の真相を突き止めてください。
詳細は後ほど連絡します。
以上です。

アロナはメッセージを読んで驚いた。

「これは大変だ……。先生、ミカちゃん。早く見てください」

アロナは声を上げて二人に知らせた。