全国一律に性的な部位の盗撮行為を取り締まる「撮影罪」を新設した背景


性犯罪の規定を大きく見直す改正法は、全国一律に性的な部位の盗撮行為を取り締まる「撮影罪」を新設しました。

これは、客室乗務員(CA)などの航空関係者が盗撮被害に悩まされていた問題に対応するものです。

CAの盗撮被害は、航空業界の労働組合「航空連合」が2019年と2022年に行ったアンケート調査によると、機内で盗撮や無断撮影をされた経験が「ある」または「断定できないがあると思う」と回答した客室乗務員は、2022年では71%に上っています。

2019年の調査では61.6%だったので、9ポイントも増加しています。そのうちスカートの中を撮影されたと回答した人は1割弱でした。

盗撮被害が増えている理由は、いくつか考えられます。 

一つは、スマートフォンの普及や機内での電子機器の使用の緩和によって、盗撮がしやすくなったことです。

もう一つは、法制度の限界によって、盗撮を取り締まることが難しいことです。

航空機内での盗撮は、どの都道府県の上空で発生したかを特定しなければならないため、迷惑防止条例を適用することができない場合があります。 

また、航空法にも盗撮は明記されていません。

さらに、相手がお客様であることも、盗撮被害に対処することを難しくしています。

客室乗務員は、お客様の気分を害したり、恐怖感を感じたりすることを避けるために、声をかけることを躊躇したり、具体的な行動を起こせなかったりすることが多いようです。