「甘い審査ですぐに貸せるが、貸し付けの条件は不動産の購入だ」

埼玉県の不動産会社の社長らが、取引先に融資の条件として会社が所有する土地を高値で買わせていたとして出資法違反の疑いで逮捕された事件で、土地の選定や価格は社長が決め、取引先とのやりとりは当時の社長室長が担っていたとみられることが警視庁への取材で分かりました。
警視庁は、会社ぐるみで違法な利息を取っていたとみて調べるとともに、法人としての会社についても近く書類送検する方針です。

埼玉県草加市の不動産会社リベレステの社長、河合純二容疑者(74)ら3人は、取引先におよそ7億円を融資する条件として、会社の所有する土地を本来の価値を大きく上回る高値で買わせ、実質的に高金利で金を貸し付けたとして出資法違反の疑いが持たれています。

調べに対し、社長は容疑を否認しているということです。

この事件で、取引先に販売された土地は、会社が抱えていた災害のおそれがある傾斜地など「売れ残り」の中から社長が選定し、販売価格を決めていたとみられることが警視庁への取材で分かりました。

取引先とのやり取りは一緒に逮捕された当時の社長室長が担っていたとみられ、取引先には「甘い審査ですぐに貸せるが、貸し付けの条件は不動産の購入だ」などと伝えていたということです。

警視庁は会社ぐるみで違法な利息を取っていたとみて調べるとともに、法人としての会社についても近く書類送検する方針です。

リベレステ社長ら「正当な不動産取り引き」と説明

「リベレステ」は、埼玉県草加市に本社を置く不動産会社で、マンションの建築や分譲などを手がけ、東京証券取引所のスタンダード市場に上場しています。

会社の有価証券報告書によりますと、去年5月の決算では、60億円余りの売り上げを計上しています。

河合純二社長は、前身の会社の時代から社長を務めていて、創業者として長く経営に携わってきたということです。

会社は、コンプライアンス体制の強化などを理由に社長がことし6月で退き、相談役となることを発表していました。

ことし3月に本社や社長の自宅などが警視庁の捜索を受けたことから、会社が社長らに聞き取り調査をしていたということで、社長らは「正当な不動産取り引きで出資法違反にはあたらない」と説明していたということです。