学習とは不可逆的な情報圧縮

2 AI絵師は描いてると言える?
描いてません。
AIがランダムに出力するイラストから良いものを選んでいるに過ぎません。絵を描く行為とは全く異なります。
ですので、AI絵師という呼び方はふさわしくありません。
AI術師、AI生成師など別の呼び方が妥当です。

3 AI絵師におけるオリジナリティとは?
AIを使っても同じイラストが出るわけではありません。使いこなすにはそれなりに知識や経験が必要です。
工夫する点としては、

・呪文(プロンプト)の洗練
・生成パラメータの調整
・情報収集、新しく公開された機能への順応

などが挙げられます。

4 AIイラストの問題点は?
AIイラストの問題点について議論する場合、4つの事柄を切り分けて考える必要があります。

・機械学習(AIツール開発)
・オリジナル生成(プロンプトで生成)
・構図パクリ(i2i、controlnetなど)
・絵柄パクリ(LoRAモデル)

一つずつ見ていきます。


5 機械学習の話の前に、人の学習に関して
人が絵の描き方を学習する場合、トレースや模写など既存の創作物をマネして練習します。何も見ずに絵を描けるようにはなりません。
また、練習に関しては版権元に連絡を入れる必要はありません。版権キャラでも何でも自由に模写して問題ないです。


6 機械学習に関して
機械学習の場合にも、人が絵の描き方を学習するように既存のイラストから自由に学習して良いというのが現状の法律です。
この法律に関しては個人的に妥当だと考えております。あくまでAIツール開発のためであり、最終的にAIツールを使う側の人間のモラルの問題です。


7 学習とは
そもそも学習とは不可逆的な情報圧縮だと考えています。重さ1500グラム程度の脳みそに情報を入力し手でイラストを出力する人間の学習、50億枚の画像を12GB(1枚当たり2.5バイト)に圧縮し拡散モデルで出力する機械学習。どちらも元データは取り出せない不可逆的な圧縮です。

8 オリジナル生成に関して
人がオリジナルの絵を描き公開するのと同様、AI生成されたオリジナルのイラストを公開することは問題ないと考えております。生成時のプロンプトにより独自性が生じ、16桁のSEED値(1兆通り)が唯一性を担保するという考えです。

9 構図パクリに関して
i2i、controlnetなど構図を簡単にコピーする技術がAIにあります。しかし、他者のイラストを使う場合は盗用です。トレパク行為です。東京オリンピックの大会エンブレム盗用騒動などから分かる通り盗用は許されません。AIを使う側のモラルが重要です。


10 補足 i2i、controlnetの解説
この2つは全く別の所から発展した技術ですが、出来ることは同じと考えて良いです。提示されたイラストを参考にイラストを描く技術がi2i、イラストから人物のポーズをカラーボーンに抽出し描き直す技術がcontrolnet(openpose)です。

11 絵柄パクリに関して
パクリに関して話す前にパクリとパロディに関して話します。
パクリは盗用を差します。ブランド物の鞄などのコピー品などもパクリです。先述した東京オリンピックのエンブレムもパクリです。一般的にも悪いニュアンスで使われることが多いかと思います。

12 パロディ
具体例を出すと「ポプテピピック」です。視聴者の大半が元ネタを連想するレベルの模倣を行い、それで笑いを誘うという手法です。絵柄が特徴的な漫画(北斗の拳、カイジ等)はパロディされやすいです。
なぜ、これらの模倣がパクリではなくパロディと呼ばれ許されているのかを考えます。

13 なぜパロディが許されるか
パロディをする際には原作者に対する尊敬や感謝、つまりリスペクト精神が大切です。
そして、パロディされた作者の寛容さの上に成り立っています。
これは漫画を描く、イラストを描く苦労を知っている者同士だから許される関係性だとわたくしは感じております。

14 AIイラストとパロディ
AIイラストを生成するのも簡単ではありません。しかし、自らの手で絵を描き表現できるようになるまでの苦労とは比較にならないでしょう。そんな絵を描く苦労を知っている創作者同士の関係性に、AIイラストが土足で踏み入るのは失礼に値するとわたくしは考えます。

15 絵柄パクリ
長くなりましたが、AIイラストで他者の絵柄をコピー(他者のLoRAモデルを勝手に生成)する行為はパロディではなくパクリ、盗作であり許されない行為だとわたくしは感じます。現状は機械学習と一括りにまとめられてますが、個別に検討すべき事案だと考えます。

16 補足 LoRAモデルの解説
特定の絵を特化学習させた物がLoRAです。例えばキムタクの写真を学習させればキムタクに特化したモデルが作れます。メイド服など服装も学習できます。混ぜ合わせることができるので、2つを混ぜてメイド服を着たキムタク特化モデルも作れます(画像は貼れるわけもなく)

17 まとめ
・機械学習(AIツール開発)
・オリジナル生成
これら2つに関しては問題ないというのがわたくし個人の見解です。
・構図パクリ
・絵柄パクリ
他者のイラストを無断で盗用する行為は手書きの場合と同様に許されません。
あくまで個人的な見解ですが絵柄パクリも許されないと考えます。

20 禁止措置に対する懸念
・AI利用疑惑をかけられ魔女裁判
・AI使用を隠して投稿する不正行為
・国内AI技術の衰退(中国の発展)
・AIと非AとIの線引きの難しさ
個人的な懸念ですが、AI禁止措置が取られた場合これらの問題が生じると考えます。今後の動向を静かに見守りたいと思います。

21 最後に
AI技術の進歩は凄まじく、積極的に利用している側も全てを把握できない状況にあります。わたくしのように自らの欲のために利用するのではなく、悪意をもって使う輩もいることでしょう。AI技術がこの先どう転ぶか分かりませんが、全ての創作者にとって有益な物となることを切に願います。

22 リスペクトの大切さ
最後にもう一つだけお話しします。
リスペクトを忘れないで下さい。
イラストレーターに限らず、パソコンを発明しネットワークを構築、インターネットの整備しデバイスを一般に普及させ、ついにAI技術を発明した、彼ら名もなきエンジニア達へのリスペクトも忘れないでください。