窃盗罪と単純横領罪は成立しないんじゃないか

これは、民事裁判になりますが、阿武町は男性を提訴しました。本人は行方がわからいということなので、若狭勝弁護士によると、「町が勝訴する可能性は高い」といいます。
町が勝訴した場合には、どうやってお金を回収するかというと、男性がお金を持っていました、あるいは、男性がそのお金で車を買いました、お金で不動産を買いました、という場合は、その資産を差し押さえて、町が回収することができますけれども、ただ当然回収できない場合というのがあり、若狭勝弁護士によると、既に資産がない、使い切ってしまった、という場合、あるいは、口座がわからない場合「回収は不可能」。こういったパターンがあるといいます。

男性の行方がわからないという中で、町としては行方を捜すのも大変だと思います。刑事事件になれば、警察が捜してくれるということなので、刑事事件にすることができる可能性があるのか、若狭勝弁護士に話を聞いたところ4つの可能性があるといいます。


まずは、「詐欺罪」です。窓口で誤入金お金を引き出した場合、「自分のお金ではない」と銀行に告げる義務があるといい、これをしなかった場合詐欺とみられる可能性があります。
そして、「窃盗罪」。誤入金のお金をATMで引き出す、自分のものではないとわかっていても引き出すと窃盗にあたる可能性があります。
さらに、「電子計算機使用詐欺」。誤入金のお金をネットバンクで送金した場合、こういったことも罪になる可能性があります。さらには、「単純横領罪」。誤入金があった口座から別の口座に移動させること。この4つの可能性があるということで、若狭勝弁護士の見解としては、警察も逮捕を考えているのではないかということです。

罪の重さとしてはどうなるのか、返還が一切されない場合は、「懲役3年前後の実刑」の可能性。半分ほどの返還で、「懲役2年ほどの実刑」の可能性ということで、罪の重さは返還の金額により、変わってくる可能性があるという見解です。


橋下徹氏:
これは、いろいろな意見がわかれます。罪に問われる可能性のところの「罪」の部分も、窃盗罪と単純横領罪は成立しないんじゃないかというのが僕の考えです。
これは、遺失物横領という、落とし物の横領となるだけで、単純横領罪にはならない。というのは、誤振り込みというのがあったとしても、その人の預金としては有効だというような判決もあるんですよ。民事上、そういった判決もあるので、窃盗とか、単純横領罪にもならないという考え方もあります。それから、罪の方も半分程度の返還で被害弁償を半分やれば、弁護士の立場だと、執行猶予を取りに行く案件になるのではないかと、半分の弁償でですよ。
であればですね、彼は4630万円を移してしまって、で、半分返せば、もし仮に執行猶予となれば、半分手元に置けるわけですよね。
ということも、いま、実はネットの情報の中では山ほどそういった話が出てくるんですよ。
執行猶予になるのは、確実ではないですが、今までだと弁護士に相談して何時間も話を聞いて、だいたいこういう風になるのかなって見通し立てるところを、いまは、ネット時代でいろいろな情報が入ってくるので、もしかすると彼は、いろいろな情報の中でこういった道を考えたのかもしれないですね。
絶対に返さなければいけないですが、民事でお金を返さないっていう人は世の中にたくさんいて、全員が全員罪になるわけではないので、でも僕は詐欺罪にはなると思っています。