こんなに辛くて苦しいならデザイナーになんてなるんじゃなかった

デザイナーになりたい、漫画家になりたい、アニメーターになりたい、3Dモデラーになりたい、職人になりたい‥そんなクリエイティブ職を目指す皆さん、ならびに搾取され続ける地獄を味わっている最中のクリエイティブ職のみなさん、こんにちは。こんばんは。

ところで、デザイナーって言葉の響き、めっっちゃかっこよくね?仕事内容はともかく名前は本当に好きだわ。

わたしはデザインが好きだった。ので、デザイナーを目指しそれっぽい専門学校を卒業した。そして企業に属するプロダクトデザイナーになった。

デザイナーというと響きはかっこいいが、しがない企画職である。転職は一度したものの、今の職場は安定して勤めていた方である。

そして少なくない年数勤めた結果、体調壊した。体調を壊すまで、わたしは頭がおかしくなっていることに気がつかなかったし、搾取されていることにも気がついていなかった。こんなもんかと納得し、騙し騙しなんとかやっていこうと思っていたのだが、遂に顔面が痙攣し始めて退職することと相成りました。

漫画家になりたいと言って周囲に反対されない若者はそんなにいないと思うが、デザイナーも然りだし、クリエイティブ職なんてもんは目指すもんではない。一部を除いて搾取され続けることを約束された未来である。

そんなわけで、私の体験したことを愚痴としてここに書き残しておくので、クリエイターを目指そうと考えている若者に読んでもらえると嬉しい。

私の所属する会社がお客様として相手をしていた企業は、某超大手キャラクターメーカーだった。某ネズミである。ネズミなんて何人もいるので察することは出来ないと思うが、ネズミが相手だった。

私はネズミのことが別にすきではなかったが、デザインしたりするのを、絵を描くことを苦に思ったことはなかった。何故ならそれがよくてこの職種を目指したからである。夢を叶え続けてかわいい商品が店頭に並ぶ時はとても嬉しかったし、楽しかった。お客さんが次々きては、これかわいい!買う!と言ってくれたときの喜びは計り知れない。開発段階での苦労や納品時のトラブルはすぐに忘れてしまえるほどの喜びだった。

ただ圧倒的に搾取だった、と気がついたのは、先方にデザインを盗まれたときだった。

勤務時間が長かろうと、残業代やボーナスが出なかろうと、寝れなくとも、私の勤めている会社に搾取されるのは、最早どうでも良かった。一般的に良くなくともデザイン業界なんてこんなもんだと、もはや諦めていたのはあった。休みが取れるだけマシだと思った。やりがいで十分お釣りがくるし、暮らせるだけいいと思った。

先方のネズミの企業にデザインが盗まれることが増えた。盗まれる、というと語弊があるかもしれない。提出されたデザインが私の勤める会社ではなく、他企業に回され商品化されることが増えたのである。

理由はいくつかあるだろう。先方にもいろんな取引先との関係性があり、商品数のバランスがあったりするだろう。先方にうちの会社の作るプロダクトはあまり品質が良くないと、たびたび苦言を呈されることがあったりすることもあり、会社内でもチームでなんどもミーティングを行い、改善してきた。うちの会社の信頼度が落ちていた、そのせいはあっただろう。

それでも、何も言わずに、私が足りない頭を働かせて提出したデザインが、夜中まで考えて描いたデザインが私が携わることなく何故か店頭に出回っている。あのときの私の虚無感は、口にすることが出来ないほどだった。

お客さんがお店に来て可愛いと言って買ってくれたとき、それデザインしたけど開発したのは他企業なんだよな、と思った時に悔しくて虚しくて仕方なかった。

私が本格的に体調にトドメを刺されたとき、私がデザインしたのに知らないうちに何故か店頭に並んでいる商品は1シーズンおよそ15種類にものぼっていた。

一度は復職しようと頑張った。体調が良くなり店頭に行ったとき、またデザインが盗まれていることを知った。また知らないうちに、先方に10種類ほどデザインを盗用されていた。

私の勤め先の会社で売り上げが落ちていると叱責された。だが私に何か出来たのだろうか。デザインを盗用されたと言ったら先方を訴えられるのか。うちの会社に回ってきて売り上げにつながるはずだった商品を別企業に回されていると言えたのか。あの大手企業を敵に回して生きていけるのか。

私は何も出来ず口を噤むことしか出来ない。

今の私は疲れ切っていて、日中頻繁に起きて動くことが出来ない。1日動けなかったり、食べても吐いてしまったり、とにかく怠かったり、耳がぷつぷつと水中にいるような感覚に陥ったり、外に行くと漏れなく吐き気が襲う。気圧差にかなり過敏になっている。

デザイナーなんてロクなもんじゃない。搾取されて搾取されて、大手企業ですら筋を通してくれない。商品を買おうとネット通販を見ても、この商品の裏には私のようなデザインを盗用されたデザイナーがいるのかと考えるようになってしまった。

デザインを盗まない。たったそれだけのことが誰にも出来ない。個人のデザイナーだってネットにデザインをあげれば、絵をあげれば盗まれる。何故そのデザインに金を払えないのか、何故その労力を買うことが出来ないのか、私にはわからない。

少ない横の繋がりでも搾取されて辟易としてデザインを辞めた人を何人も知っている。3DCADなどのプロダクトデザインも然りだ。

それでも私はデザインしかできない。デザインで生きていくことしか出来ない。それしか学んでこなかった。そのことを後悔している。なぜデザイン一本で学んできてしまったのか、心底後悔している。体調が良くなったら私はまたデザイナーになるんだろう。

こんなに辛くて苦しいならデザイナーになんてなるんじゃなかった。本当にそう思う。