生活保護で生活するとどんな生活費になるのかをここに記したい。
●収入
家賃扶助……38,000円まで(地域によって少し違う。家賃の額しかお金はもらえない。家賃が3万円なら3万円のみ。共益費は自己負担)
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合計……約106,000円(家賃が最大で)
大阪府の最低賃金は964円、フルタイムで154,240円。逆転現象と言われていたが、だいぶ差は開いている。働くと所得税・住民税・健康保険・NHK受信料・診察代を払うのでもっと差は縮まるが。
家賃38,000円という物件は、東京に住んでると信じられないかもしれないが、ちゃんとある。狭くて良ければさほど汚くもない。ただし福祉物件といって生活保護の人でも可な物件でないと断られることがあるので、選択肢は少ない。
●支出(固定的な)
家賃……38,000円
共益費……2,000円
水道代……2,000円
電気代……4,700円
ガス代……2,000円
食費……30,000円
プロバイダ料……5,200円
通話料……1,000円
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合計……86,600円
●差額
●注意点
・障害者だと26,000円加算される。
・障害年金を受け取っている分は扶助費から引かれる。つまり障害年金を受け取っていてもお金は増えない。
・国民年金を免除しているので、将来もらえる国民年金の額が減る。それが嫌なら毎月16,410円を払うのだが、2990円しか残らないのでまず無理だ。
・自炊しないと食費は3万円には収まらない。自炊する能力があるなら働けそうに思えるので、実際はもっとかかるかもしれない。障害者ならヘルパーに頼めるが。
・食費が3万円とした場合、エンゲル係数は28%。日本の平均は25%くらい。高いほど生活水準は低いとされる。
●その他の生活保護の条件
・働いた収入は15,000円までなら生活費に加算できる。それ以上の収入は扶助費から引かれる。
・ネットオークションなどの収入は扶助費から引かれる。家の中に価値のある不要品があっても、売るより捨てた方が楽ということになる。
・ケースワーカー(担当者)の見下した態度に耐えねばならない(柏木ハルコ『健康で文化的な最低限度の生活』のケースワーカーは美化されている。小田原市の「保護なめんな」ジャンパーが現実)。
●まとめ
残り19,400円の中から、交通費・衣服費・薬局で買う薬代・娯楽費、などを出す。あなたならどう暮らすだろうか。
生活保護費でパチンコを打ってる奴がいる! とよく言われるが、とてもそんな余裕はない。
自分は障害者なので26,000円加算があって、それでなんとか余裕のある生活ができている。これがなかったらカツカツだ。貯金もできない。靴に穴が開いてもなかなか買い換えられないし、暖房器具が壊れたりしたらお手上げだ。
■追記
思いのほか反応があったので返信します。
>貯金はできないのか
建て前として貯金は駄目。貯金があるならそれで暮らせっていうのが生活保護なので。でも貯金が0じゃ急な出費に対応できないので、ある程度なら許されてる。制度が矛盾してる。
>プロバイダ料が高い
光だとどこもこんな料金だったけど。家にいることが多いので常時接続は欲しい。安くなる方法があるなら教えて欲しい。
>4.5万も使えるならいいのでは
実は自分は国民年金を払っている。いずれ病気を治して生活保護から抜けるつもりだから。そのとき老後の年金が減るのに不安がある。ケースワーカーには「保護費から年金を払うのか!?」と言われたので少数派だと思う。
>何の薬を買ってるのか
目薬・熱さまシート・サロンパス・栄養ドリンクなど。肩こりや疲労感がひどいので。
検索すると自治体によってはやってるらしいが、多くはしてないみたい。
>柏木ハルコ『健康で文化的な最低限度の生活』のケースワーカーは美化されている
少し書き方が辛辣だったが、あれはケースワーカー側が主人公だから、悪者に描いたら読者がついてこなくなってしまう。娯楽作品として当然の演出だと思う。それでもああいう作品を世に出した功績は大きいと思う。
自分は「保護なめんな」ジャンパーほどのことは経験していないが、ケースワーカーに不信感を抱いた出来事を書くと、
◎申請に行ったら、生活保護は世帯単位だから、まず一人暮らしをするよう言われた。保護を申請する人に引っ越しのお金があるわけないだろうと言ったら「そういう規則だから」としか言わない。
引っ越すのは審査の前だから、引っ越してから審査して、もし保護が下りないとなったらどうすればいいのか。そういう疑問に答えてくれない。
◎ボランティアをしていると言ったら「ボランティアなんかしてる場合か!」と怒鳴られた。
ボラは社会性のリハビリとして行っていて、主治医も賛同している。世の中には「高齢者の囲碁の相手」なんて簡単なボラもあるのだが、そういう説明は一切聞かずにいきなり怒鳴ってきた。相手を見下していないとこんな態度は取れない。
そもそも家に閉じこもっていて社会復帰できるのか。社会復帰するために外に出てるのに「外に出られるなら働け」と言われる。家にいても「はやく働けるようになれ」と言われる。どうしろというのか。
◎医療費の申請をするとき、3回くらい連絡してようやく申請が下りた。そのくせ、国民年金の支援給付金が下りたときは向こうから連絡が来て「通知書が来てるでしょ? こっちに送って」と言われ、きっちり保護費から引かれた。
こういったことは別にケースワーカーに限ったことではなく、非正規や自営業のように社会的地位の低い仕事をしていたらよく遭遇することだ。ただそれらの根底には地位の高い者から低い者への見下しがあり、ケースワーカーも生活保護受給者を見下しているということだ。