委託契約ドライバーの平均年収は720万円


EC(ネット通販)市場が急成長を続ける中、その荷物を運ぶ中堅運送会社が委託ドライバーの囲い込みを急いでいる。

配送に使う軽車両のリースや車両保険・車検などが入った「メンテナンスパック」などを展開し、配送業務が未経験の人でもすぐに働けるようにした。ドライバーはロイヤルティなどを支払うことなく、委託ドライバーとして会社から配送を受託することができる。

報酬は完全出来高制で、配送完了した荷物の数に応じて支払われる。「1日に委託ドライバーが届ける荷物は、BtoC向け配送で平均100個、BtoB向け配送だと平均して120~150個ほど。委託ドライバーは平均して、1日1万5000円~2万5000円くらい稼いでいる」。

委託ドライバーとして活動する20代後半の男性は、「月収はおよそ50万円。安定して仕事をもらえるのがいい」と話す。

「Momotaro・Quick Ace(桃太郎クイックエース)」と呼ばれる独立支援制度では、委託ドライバーの所得の約6割を補償する「所得補償保険」

委託ドライバーはケガや病気などで働くことができないと収入がゼロになってしまうリスクがあるが、その際に一定期間、月収の約6割を補填する。

20~30代のドライバー。
平均年収は720万円。

日本郵便の衣川和秀社長
「荷物の小型化が進む中、ゆうパケットの取扱個数を伸ばしていきたいものの、デリバリープロバイダなどはわれわれにはできないような低価格で荷物を引き受けているようだ」

多くの自社ドライバーと物流拠点を抱え全国配送網を構築する大手宅配は、その維持に莫大なコストがかかる。そのため、配送単価を引き下げて荷物を確保することは難しい。

大手宅配が利益確保に躍起になるあまり、委託ドライバーを支援するどころか、ドライバーに支払う配送単価を引き下げる動きもある。

「大手宅配の配送受託は単価や荷物量が安定しないため、安心して働きにくい」

両社ともに価格競争力を武器に、今後さらに攻勢をかけていくようだ。

ただ、ドライバー確保の競争が激化する状況で、手厚い支援で囲い込み続けるにはコストも増え続けることになる。十分な採算性を維持したまま成長していくことができるのか。勝負が本格化するのはこれからだ。