関西国際空港のプライベートジェット機専用施設「玉響(たまゆら)」


TCTSRと呼ばれるプライベートジェット機のボンバルディア グローバル・エクスプレスが、トルコの会社であるジェット航空ASによる運航で、関西国際空港のプライベートジェット機専用施設「玉響(たまゆら)」から、楽器ケースに入ったゴーン氏を乗せてイスタンブールへと飛んだ。

TCTSR機は関空を飛び立つ前日、28日にマダガスカルのアンタナナリボを出発、ドバイに立ち寄り、関空に到着した。

アンタナナリボはこの一連の出来事で重要な役割を果たしたかもしれない。その理由はマダガスカルの立地にある。アンタナナリボにあるイヴァト空港は多くの航空機が利用する重要な航空ルートから離れた場所にあり、保安管理が緩いことでも知られているのだ。アフリカに近いことから、この地域で紛争があった場合など、警備会社が要人の脱出を図る際にも利用されている。

「空港の荷物検査は武器や爆発装置を検知するために実施されている。プライベートジェットの場合、顧客が自らを噴き飛ばしたいはずはないから、彼らの荷物はほとんど検査されない。まったく確認しない場合もある」と、空港運営に関わる企業のある役員は打ち明ける。そこで、ゴーンは荷物となってプライベートジェットに乗り込むリスクを選択したわけだ。

出入国審査官が楽器ケースのように見えたものを適切に検査せず、あるいはいっさい確認せずに機内に載せてしまった可能性が非常に高いのはそのためである。ゴーン氏の身長は約170㎝なので、全長2m程度の箱が必要だ。そのような巨大な箱は通常のX線検査装置には通せないため、口頭でのやり取りだけで通過できた可能性がある。