「集団自殺はなぜ練炭で行われるのか」

「集団自殺はなぜ練炭で行われるのか」について述べました。首つりや刃物を用いた集団自殺では、誰かが失敗する可能性が高く、そうなると「自殺を装った殺人事件ではないか」と疑われることにも繋がる――というのが、その大きな理由でした。

ただ、大家の立場からすると、4人もの人間が同じ部屋で集団自殺するというのは、とてもショックが大きいはずです。たとえばこれが飛び降り自殺であれば、遺体が発見されるのは屋外になるので、部屋そのものは直接の死亡現場にはなりません。ただ、練炭自殺となると、正真正銘「この部屋で○人が死んだ」ということになり、その影響を考えると、経済面でも大家へのダメージは少なくないでしょう。

ここで公平を期すために、というと少しおかしいかもしれませんが、一応補足しておくと、高層マンションなどが集まるエリアに事故物件がいくつも存在している、ということ自体は、実は当たり前のことです。

世帯数が多ければ、中には火事を起こす人も、自殺する人も、孤独死する人もいる。家族や住民同士のいざこざから殺人を犯す人もいる。そして高い建物が存在すれば、そこから飛び降りる人もいる――。そう考えると、大通りに沿った一帯に事故物件が何軒も存在することは、特段珍しいことではないのです。