シリーズA〜B期におけるスタートアップのよくある課題


◆ ステージごとの概要

シリーズA

時価総額:10〜30億円程度

組織:創業メンバー+αで、まだ小規模なチーム

フェーズ:PMF(プロダクト・マーケット・フィット)達成直後。事業拡大に向けて組織づくりとマーケ強化が始まる


シリーズB

時価総額:50億円以上

組織:従業員50名以上へ急拡大

フェーズ:事業のスケールアップに本格着手。マネジメント、組織文化、新規事業など複雑性が増す




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よくある課題とその背景

1. 採用ミスの頻発(見極め能力不足)

急拡大フェーズにおいてスピード重視の採用が増える

一方で、現場もマネジメントも「どんな人材がフィットするか」の明確な基準を持たないまま採用してしまいがち

結果としてオンボーディングもうまくいかず、早期離脱やパフォーマンス不全が発生


2. 資金の使い方への恐れ or 誤用

資金調達に成功しても、創業期の「倹約モード」が抜けずリスクを取れない

または逆に、経験不足から“とりあえず広告” “とりあえずツール導入”など場当たり的な投資をしてしまい、ROIの低い支出が増える


3. マネジメントの未整備で一体感が失われる

組織が20名を超えたあたりから「声が届かない」「誰が何をしてるか分からない」という現象が発生

評価制度や目標管理(OKR/MBOなど)が未整備で、メンバーの動機づけがバラバラに

中間管理職層が不在or育っていないため、代表が全部見きれない状態になる


4. 新しいことばかりに手を出して軸がぶれる

成功体験や資金余力から「次の成長の芽」を探して新規事業に手を広げすぎる

コア事業のグロースや顧客体験改善にフォーカスすべきところを分散投資してしまい、結果的に何にコミットしているのか不明瞭になる



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補足:乗り越えるためのカギ

採用:バリューとカルチャーの明文化・共有、構造化面接

投資判断:KPIベースのモニタリング体制と意思決定フロー

マネジメント:評価制度・1on1文化の導入、中間層の育成

事業軸:「何に賭けるのか」の明文化と、定期的なポートフォリオレビュー



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このように、シリーズA〜Bは“個人技から組織技”へと転換を迫られる時期です。
うまく乗り越えるには、「人・金・事業軸」の一貫性と透明性が鍵になります。