セガがバンク・オブ・イノベーションを特許権侵害で訴え、「メメント・モリ」の差し止めと10億円の損害賠償を求めているということです。
あのセガが、あの「メメント・モリ」ですよ。
ちょっとクセが特徴的な放置ゲームで、一発当てたバンク・オブ・イノベーションの看板タイトルとも言える「メメント・モリ」を差し止め、さらに損害賠償まで求めているわけです。
このニュースを聞いた時、「マジか」と思い、同時に「え、何のこと?」とも思いました。
例えば、あの「パルワールド」が訴えられたと聞けば、誰もが「ああ、とうとう任天堂(ポケモン)が動いたのね」とすぐに理解できますよね。
でも、「メメント・モリ」が訴えられたと聞いても、すぐにはピンと来ません。
セガが何の理由で訴えたのか、特許権侵害とは具体的にどのような内容なのか、その妥当性はどうなのか、謎が多いです。
いろいろな情報が巷で飛び交っていますが、どう捉えればいいのか、業界関係者はどう思っているのか、実際のところはどうなのか、気になったので業界に詳しい人に話を聞いてきました。
思ったよりも興味深い話が聞けたので、ぜひ最後までご覧いただけると嬉しいです。
それでは、行きましょう。
まず、セガが「メメント・モリ」を訴えた理由についてですが、具体的にどの特許が侵害されたのかということです。
YouTubeのコミュニティでこのニュースについて意見を募ったところ、「そもそも何を侵害したの?」という声が多かったため、実際にその特許を調べてみました。
セガは、3つの特許に基づき侵害があると主張しています。
1つ目の特許は、ゲームセンターで実カードを使って何かを起こす仕組みです。図面だけでは意味が分かりにくいのですが、この発明は、操作媒体(例えばカード)をプレイフィールド上に配置すると、裏面に記録されたカードデータを自動的に読み取り、ゲーム内容が決定されるというものです。
これについては理解が難しい部分もありますが、リアルカードを置いたらそのデータがゲームに反映されるといった類の特許です。
2つ目が、いわゆる「ガチャ天井」に関するものです。
ガチャの回数を蓄積し、一定回数に達した際に特定のアイテムやキャラクターが得られるという仕組みです。
ユーザーが有料アイテムを使用し、ガチャを回すことで蓄積数が管理され、一定の条件に達すると報酬が与えられるというシステムです。
例えば、「ドラゴンクエスト チャンピオンズ」にも類似のジェム限定スタンプ機能が見られます。
この特許は、複数のガチャの情報を管理し、ユーザーが特定の条件を満たした時に特別な報酬を提供する仕組みです。
業界の人に「これって多くのゲームが踏んでいる特許なのか?使用料は支払っているのか?」と尋ねたところ、驚いたことに「払っていない」という答えが返ってきました。
業界の慣例として、セガに特許料を支払うものだと言われれば驚きますが、実際はそれが特別なケースであることも多いようです。
「セガがここまでして訴えるなんて」と驚く声もありました。
ただし、セガに限らず、バンダイナムコなどの大手企業が他社を訴えることは業界では珍しくないそうです。
一方で、この種の訴訟が「業界の洗礼」のようなもので、和解金で解決することもあるということも業界では知られています。
特に、上場しているような企業でも、この種の事情を知っているのはほんの一部の担当者に限られるため、表に出ないことがほとんどです。
今回の件では、ガチャや特定のゲームシステムに関連する特許が争点となっているため、裁判がどう決着するか注目です。
ただ、個人的には「メメント・モリ」からは「パルワールド」のような特別な著作権侵害は感じられませんでした。
それよりも、「AFKアリーナ」のシステムを参考にしている部分の方が問題になるのでは、と思わなくもありません。
中国や韓国のゲーム会社がどう扱われているかも気になるところです。
日本国内だけでなく、海外でも同じように特許を適用して平等に和解金を徴収するのであれば良いのですが、国内のゲーム会社だけがターゲットになっているとしたら、不公平ではないかと思います。
私も法的な専門家ではないので、あくまで個人の意見としてお伝えしています。