振り返ると、これが自分の人生でめちゃくちゃハードだったな、きつかったわ、あの頃は、っていう出来事は人事ですね。
ZOZOの経営はとっても難しいな、みたいな。僕の経営者人生で一度だけ解雇したことがあって、その解雇という決断をした自分に嫌悪感を感じました。明らかな問題があったわけで、それについて不当解雇だと言われたら本当に申し訳ないと思います。本当に今振り返ってみても、なぜあの時にあのような判断をしたのか不思議に思うくらいで、どうかしていましたね。僕は弱い経営者だと思います。
僕がスタートしたのはZOZOTOWNというファッション通販サイトです。これを開設したのが29歳の時、2000年から2001年くらいからインターネット販売を始めました。3年間くらいは店舗をたくさん作って、それらをまとめてZOZOTOWNというサイトにしました。2004年頃ですね。そして、2007年に32歳で東証一部に上場しました。最初はマザーズ市場でしたね。
前澤さんは商売が得意ですが、商売人の家庭に育ったわけではないんですよね。
商売をすることに対する憧れや、お金儲けに対する特別な思いがあったわけではないです。社長になりたいとか、アントレプレナーになりたいという野心も特になかったです。むしろ、無邪気に人を喜ばせたいという感覚でした。ビジネスをゲームのように捉えていて、ドラクエでコインをもらうのと同じような感覚です。何かを倒すとコインがもらえる、そんな感覚ですね。それは今でも変わりません。
僕はビジネス書を読んだことがありません。ああいった本を読んで儲かっている人を知らないからです。僕は基本的に他の人の意見を聞いても意味がないと思っています。ただし、アートや他の趣味には多く触れているので、異なる分野からのインプットはあります。その方がビジネスにも役立っている気がします。他人のノウハウは必要ないと感じています。一度だけ、人事に関して難しいと感じた時に、採用や組織、給与評価についての本をいくつか読みましたが、ほとんど参考になりませんでした。
他人の情報を意図的に遮断しようとしているわけではなく、良い話があればぜひ受け入れたいと思っています。しかし、ビジネスの答えは他人の話の中にあるとは思えないんです。本は、その人にとっての正解や失敗を語っているに過ぎず、自分にそれを置き換えて考えることができません。ビジネスの正解なんて、誰がやるか、いつやるか、どこでどんな人とやるかで全然変わってくるものです。
最近、孫正義さんの『志高く』という本を読みました。これは孫さんの反省を語った本で、読んでみて本当にすごい人だなと思いました。だからこそ、人を選んで読むんですかね。僕自身、自信がないわけではないですが、基本的に自分で解決しなければならないと思っています。他人の何かを読んで自分が変わるとは思いません。自分の内側から何かを変えることが重要だと思っています。