新鮮な言葉でなければ、人の心は動かない


黒田 Jリーグの長いシーズンの中で、第1節や第2節に伝えた同じ言葉を第10節で使うのは違います。第15節に持ってきてもおかしいし、20節も違います。

極端にいえば40節と41節の間はたった1週間しか空いていないけれど、かける言葉は変えるべき。流れやチーム全体を考えながら言葉選びをしています。

だから、いつも同じ言葉を選手に使っていても、モチベーションを維持できると思うのは間違っています。人間をコントロールする以上は、人の心も表情も、チーム組織であっても、毎日その姿や思考は変わっていくことを認識すべきなのです。

その時に一番新鮮な言葉でアプローチしていかなければ、人の心は動かせません。

藤田さんのマネジメント力として感じたところは、話しやすいことです。様々な企業のリーダーと話をする機会がありますが、距離感があったり、話しづらい空気感があることが多いです。藤田さんはそんなことがまったくないというか、これだけの人なのに、そういった部分が一つもないと言っていい。

信頼できる部分としては、いつも温かい心で見守ってくれていることです。こちらにすべてを任せてくれるところは本当に有り難いと思っています。よく聞くのは先発メンバーまで口を出す社長もいるそうです。そういうこともなくしっかり任せてくれます。

藤田 それはどこのチームなんでしょうか(笑)。

黒田 人の話をよく聞いてくれて、それに対して「これ面白いですね」と感想も言ってくれます。だから、自分の歩いている方向や立ち位置がわかりやすい。

これは間違った方向に行ってないというのは社長が共感してくれれば自分も理解できます。

だからこそ今は本当に上手くいっているし、みんな信頼し合って関係性を構築できています。これこそが今回の優勝や昇格というものに結びついているんだと純粋に思っています。