【藤田晋】─ ニトロプラスに対してどんな印象を持っていましたか。


── ニトロプラスに対してどんな印象を持っていましたか。


藤田:ニトロプラスは、コンテンツに対する深い知識と愛情、そしてそれを具現化する力を持つ「素晴らしいコンテンツを作り出す会社」です。我々が持っていないものを持っており、その組織やブランドの価値は非常に高く、本当に貴重な存在だと思います。


── グループ入りについて、話をいただいた際の心境はいかがでしたか。


藤田:「まさかニトロプラスから話をいただけるなんて...!」と思いました。


私たちは、積極的にM&Aをしている会社ではないのですが、自分たちに能力がない部分はM&Aも視野に入ってきます。


サイバーエージェントとしてIPに力を入れていくうえで、ニトロプラスは有力な会社ですし、ご一緒できたらいいなという会社の一社でした。当然、独立系で長く続けている会社ということは、会社経営も順調であると推測されたので、特にこちらからアプローチすることもありませんでした。


そんな中で、今回ニトロプラスからお話をいただくことができ、今後とも選ばれる会社でいられるように、社内には日頃の行いが大事だと改めて伝えました。


── コンテンツのプロデュースと会社経営の違いと難しさはどのようなところにありますか。


藤田:先ほど「毎日が文化祭」で「好きなことを好きなだけやることで面白い作品が生まれる」という話がありましたが、それが事業の源泉だと理解することがイコール経営にも繋がっています。


つまり、何が大事かをちゃんと見抜いて、そこから生み出されるものが非常に大きな可能性を持っているということ。それを損なってしまったら、はっきり言って価値を破壊してしまいます。


私もABEMAでたくさんの幅広い分野のコンテンツを扱っている中で、自分が精通している分野では、そのジャンルへの深い理解や愛情をもってコンテンツを作っています。特に麻雀が分かりやすい例ですが、自分自身が得意であるから、プロ麻雀リーグであるMリーグを立ち上げたり、ABEMAで麻雀チャンネルを立ち上げてきました。サイバーエージェントは、特定の分野に精通している社員のことを高く評価する会社です。


プロデューサーはコンテンツへの愛がないといけませんし、経営者の立場でもそれを理解できないといけません。二重人格のように切り分けるのは難しいことですが、切っても切り離せないものです。


── サイバーエージェントとしては、経営管理や人事制度などをサポートをしていくことになりますか。


藤田:私たちでそれをフォローしていくことはできると思いますが、ゲームをはじめコンテンツ産業では「ヒットを出せた会社が経営が上手い」ということになりますから、その順序を間違えてはいけません。


私自身、ゼロから会社を作って26年が経ち、規模が拡大してくると財政面やスタッフの数など、できる規模の大きさが全く違ってくることを実感しています。そういった面では、ニトロプラスがこれからさらなるIPを展開していく上で、力になれる自信があります。


ですが、結局はいいものを作っている会社が、経営が上手いということです。本当に大事なものを見失わないようにしながら、フォローしていきたいですね。


── サイバーエージェントもオリジナルIPの創出プロジェクトを始動させたタイミングです。ニトロプラスのグループ入りで期待していることやサイバーエージェントグループとしての展望も教えてください。


藤田:私の期待としては50:50です。半分は『刀剣乱舞』をさらに大きく発展させていけるように、私たちが力になれるようなことは一緒にやっていきたいです。残り半分はオリジナルIPに力を入れていく中で、ニトロプラスがグループに居ることは大変心強く、新しいIP創出に一緒に取り組むことができたら嬉しいです。