【川上量生】労働生産性を上げて給料を上げろといってる日本人は考えるべきだ


カナダの田舎町で、パスタのファーストフードのチェン店に入った。

一食2500円ぐらい。

なぜ、こんなに外国の物価が上がったかを、労働生産性を上げて給料を上げろといってる日本人は考えるべきだと思った。

別に単純な話だ。

・各企業が値段を上げたからだ。

・なぜ値段を上げることができたかというと何もかも寡占化が進んだからだ。

・値段を上げると粗利が増える。つまりアトキンソン氏などが主張する労働生産性が上がる。

・しかし、寡占企業は労働分配率が低い。社会全体で見ると、モノの値段が上がった分より、従業員の給料に回った分の方が少なくなる。

↑この構造がきちんと説明されていないと思う。

仮に寡占企業の従業員の給料がいくら高かったとしても労働分配率が低いのであれば、社会全体では労働者の取り分が減ったということになる。

労働分配率は中小企業よりも大企業の方が低い。なので、アトキンソン氏のいう中小企業を潰して日本の生産性を上げろという主張は大企業の社員だけ給料は上がるかもしれないが、日本全体では社会の格差が広がり、より国民が貧しくなるだけだ。

寡占化することが日本国民全体にメリットある業界があるのだとしたら、国際競争している業界だけだろう。これは輸出産業だけでなく、外資企業に席巻される可能性のある国産企業も含まれる。

また、それ以外の業界でも海外に結果的に利益が流出する費用にも日本全体を考えるなら本当は注意を払う必要がある。アップルやGoogleやAmazonに日本企業が払っているプラットホーム利用料はすでに馬鹿にならない。これらはアップル税とか呼ばれるが日本の国の税金と違って、日本国民に最終的に還元されないわけではない税金という大きな違いがある。植民地が本国に徴収される税金の様なものだ。

そういうマクロに影響を与えるミクロな要素は何かという視点が、日本の報道に決定的に欠けていると思う。

日本のチェーン店が値段を上げられないのは、個人店が価格で対抗してくれているから。

食文化の多様性という観点からも、個人店を大切にしたいと。

これ、ほんと、そう。アトキンソン氏が問題視する労働生産性の低い(しかし労働分配率が高い)中小企業の例ですね。

味に劣るチェーン店は安い値段で対抗しているから、日本では気付きにくい点です。