昔からの中国の教えで,「満は損を招き、謙は益を受く、これ乃ち天の道なり」という言葉がありまして。
※調べてみたら書経の一節だった。「満招損、謙受益、時乃天道。」 驕りは損失を招き,謙虚さ(を持つ者)は利益を授かる,これが天の道理である。
まず会社の経営状況を心配しなければいけないですよね。Yostarは現状で150人いるわけですが,それぞれの社員の生活もかかってますし,そこも考えないといけないんです。
それに,中国は政策が与える影響がすごく大きい国で,それにも毎回悩まされます。ちっとも楽しくないです。
……やっぱり,会社経営者の人であれば共感してもらえますよね(笑)。
そうなんですよね。
起業初期は夢がたくさんあって,それを見て前に進めますけど,社員が増えれば増えるほど現実と向き合う時間が増えてくるわけで,そこがとても難しいです。
我々は,ただ一部のプレイヤーに熱狂的に愛されているだけで,知名度や実績は本当にそこまでじゃないんですが,それでも長く日本のコンテンツを見て来ましたし,思うところはあります。
日本のゲーム業界や日本のコンテンツは,ちょっとマンネリ化が進んでいる感じがしていて,たぶんこれは日本の業界の中でも議論されているんじゃないでしょうか。
新しいゲームのアイデアとかが出てくるのは,ちょっと厳しそうだな……という印象です。
これは中国でもよくある話ですが,グラフィックスやゲームシステムなどの部分だけを模倣しても,それより前に成功したゲームを絶対に超えられないと思うんです。
おっしゃることは分かります。
うちで言うなら,開発のManjuuとYongshi,あとYostarの運営スタッフは,みんな日本のアニメやゲームが好きで好きで本当に好きで,長い間愛していて,キャラ作りの時も自分の好みをゲーム要素にこっそり入れてたりするんです。そういうところが,ユーザー受けした原因なのかもしれません。
でもそういった行為は,結局のところ諸刃の剣で,いつか自分が傷つくことになると思います。なのでゲームとしては,やっぱりオリジナリティが大事だと思いますし,現状のようなリスペクト路線は長く続けていかない方がいいと思っています。
はい。完全にオリジナルなゲームを作り出すのは,非常に難しいことです。
現状,うちを含むたいていの会社が作っているゲームは,既存の何かしらの作品に自分達なりのアイデアを加えてアレンジした作品だろうと思います。
あと重要なのは,「完全にオリジナルなゲーム」が面白いとは限らないということです。
自分達なりのオリジナリティを考えつつ,既存の作品からも良いアイデアを得ながらもっと面白いと思えるゲームを作っていく方が,ユーザーも楽しめる作品が出来上がると思っています。
料理で言うなら,世の中に食材は限られているわけです。同じ材料で同じ料理を作っても人それぞれの味になるわけで,大事なことは新しい食材を見つけることではなく,同じメニューでどうやって自分の美味しい味を創り出すのか,だと思うんです。
最近はまた,パクりが増えてますよね。ご存じのように,パクりが凄く多かった時期があるので,ゲームがちゃんと好きな人はそういうのをまったく許容できないんです。歴史の流れの中での産物,みたいなものでしょうか。
確かにそうかもしれません。単純なパクりではなくて,良いものから知見を得て自分なりのものを作り出すのが一番だと思います。