【藤田晋】会社経営と競馬には似ているところがある


会社経営と競馬には、似ているところがあると思います。競馬ではいくら実力のある馬でも、レース展開や当日の体調次第で勝てないこともあります。ただ、たとえ短期的には運による勝ち負けがあったとしても、中長期的に見れば才能のある馬、努力している厩舎が勝っていくのが競馬です。ビジネスも同じで、ラッキーで成功した経営者がその後もビジネスを続けていけるかというと、やっぱり実力が備わっていてしっかり努力していける人でなければ続きません。

一応、毎年予算があって、どんな馬をいくらくらいまでで落とすかという綿密な計画を立てています。周りからは次から次に買っているように見えるかもしれませんが、僕の中では計画通りにやっています。かなり競っている馬であっても途中で下りることもあるし、ここまでと額を決めてやっています。

個人的な肌感覚ですが、僕よりも下の世代で上場してそれなりに成功している若い経営者で、馬を買う人は増えていると感じます。そういう人たちが集まる食事会などに参加することがあるのですが、今の若い経営者には純粋に競馬ファンというタイプが多いですね。本当に競馬オタクなので、競馬に関しては教わることもすごく多いです。

自分の馬が実際にレースで走っているときは、まるで自分が走ったみたいに疲れます。勝てばガッツポーズするし、周りに人がいなければ子供とハイタッチしたりもします。大人になるとそんなふうに感情を爆発させる機会はなかなかありませんから。でも、一番人気で出走したのに負けたりすると、本当につらいですね。なんか申し訳なくて、近くにいるお客さんたちの顔が見られません。

かなり早くリタイアした経営者の中には、属する会社がなくなったことで孤独感を抱く人もいるようですが、馬主でいるとチームで目標に取り組むということがずっと続く上、馬主社会にも属しているので、現在の地位にしがみつくことなく、適切なタイミングで後進に譲れると思っています。

競馬というのはそれ自体が一つの村社会みたいなものなので、そこに足を踏み入れたことで本当に知り合いが増えました。さらに馬主同士というつながりは、先ほども話したようにとてもコアな趣味仲間のような関係なので、自分にとって本業とは別の“居場所”ができたという感じです。今、馬を1頭持つのは大変かもしれませんが、実際に自分で馬を買うとみんな本当にいろんなことを調べるし、最終的に牧場や厩舎より馬主のほうが詳しくなったりします。それくらいハマるものですから、新しい趣味を探している人にはおすすめです。