STFさん講演会のメモ


東京に戻ってきた。飲み会でご一緒した方々ありがとうございましたすごい豪華メンバーでしたね。手元で取ってたSTFさん講演会のメモを共有しときます。他にもツイートされてた方がおられるから蛇足かもしれないけれど。

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【自己紹介】

2010年
5月に100万で株を始める
初心者本を読んで10銘柄でPFくむ
SNS活用する発想がなかったのでとにかく本を読んだ
PERが低くて利回りが高くて業績が伸びているものを買えば良いのかと思っていた

2011年
2ヶ月で倍になり800万
震災で対応を間違えて震災4営業日後に125万

この経験から出金してはじめて利確という考えになった
儲けの半分を出金するルールにした
かぶたんで決算チェックして好決算でPFくむ現在のスタイルになった
年末185万

2012年
アベノミクス初動に全力でのる
1年で10倍、年末2000万

2013年
日本マイクロニクスにのる
年末2億

2015年
オフ会で交流してた

2017年
10億

2018年
退職、この年は年間マイナス

2021年
30億

2022年
+30%

2023年
+89.5%

【投資手法】

株価が上がっているものでより上がりそうなものを買う
決算直後でない場合チャートがきれいなものに寄せる
好決算銘柄でPF組んでいれば期待値はある

好決算とは:
上を買いたくなるもの(株は変化で買われる)
qonq, yonyで強い数字が出て、継続性がありそうだったりさらなる伸びが期待できそうで、次の決算をまたぎたくなるもの
そのQのEPS4倍のPERから想定して、中身を分析して足し引きする
参照するリソースは決算短信、決算説明資料、銘柄スカウター、決算説明会動画、決算説明会書き起こし

kpiが跳ねているもの
セグメント別で見る
財務分析はしないけどPLは見る
月次が継続的によいもの

一定額を出金して出金分は勝ち逃げ、株口座にある分は基本フルレバで超分散(現在は100銘柄程度)
株価が上がるとこを取ることを意識する
株価が上がるタイミングは読めないが好決算発表から1~2ヶ月は期待値ある
投資家への周知、レーティング、四季報オンライン、四季報サプライズなどがその要因となる

数値が継続的に伸びていても株価はどこかの1~2ヶ月で一気に水準訂正することが多く、好決算直後に起こることが多い
現在の株価に一番織り込まれていないのは今日出た決算なので好決算、こう月次のあとなるべく早くポジションを取る

決算翌日あがるものを買う、10%~S高で寄るもの、初日寄らず二日目でよるもの
初動時は上がれば増やす、下がれば減らす
買うものは決算を見て買いたいと思ったもの、次の決算や次の次の決算をまたぎたいもの
出口は考えない、出口を考えるようなものは買わない
売るときは相対で、何かを買うときに相対なにを減らすか考える

チャートが厳しくなったら基本減らす
決算コケたら基本投げる
チャートがきれいなほうに寄せる
下がって減らしたものがトレンドが変わって上がりだしたかなと思ったら増やす

【Q&A】

Q:フォローさせてください
A:情報交換できる人、直接コミュニケーションある人だけにしてます
フォロリクもみてないです

Q:決算期ホテルに合宿してなにやってるの
A:家にいると朝おきれないから起きるためにやってる
深い意味はないし特別なことはやってない

Q:毎日のルーチンは
A:決算期だけがんばるタイプ、午前中は寝てて後場は見てる、ポジション調整も後場にやる
20時にかぶたんのサプライズ決算みてそこに出てるものをみる、PTS上位も

Q:よく見ているサイトは
A:ついった、かぶたん、銘柄スカウター、四季報

Q:一番大事にしてることは
A:当たりを引っ張ること、さっさと切ること

Q:どうやって深掘りしてる
A:浅く広くやってる、深掘りはあんまやらない

Q:下げ相場のメンタルの保ち方は
A:株から離れる、ポジション減らして出金する

Q:自分なりの勝ち方が見えたのはいつ
A:最初からやり方は変わってない

Q:損切りのルールは
A:ルールはとくにない、持っててつらいものは減らす、明日もっと下がると思ったら今日切る

Q:目標株価は設定するか
A:しない

Q:業績に株価がともなわない場合、原因を考えますか
A:損切りする

Q:業績やテーマの先取りはどうやってる
A:先取りはしてない、出てきたものを追っかけてる

Q:経営陣の保有状況は気にするか
A:気にしない、会社が株価を意識しているかは気にする

Q:株価の高い低いの判断基準は
A:そういうのは判断しない、上がってるものを買う

Q:利益を伸ばす秘訣は
A:売らなければいいんじゃない?

Q:abalanceなんで買ってたの
A:決算チェックして好決算でひっかかった、2021年からトレード、
2021年+9億、2022年+1.8億、今年の含み益が+12億あったところから-7000万
ほんとなら1万5千とかなるはずのところ上がらなかった、そこで株価は正しいと思わないといけなかった

Q:資金量がもっと少なかったらどうしますか
A:やり方は変わらない、流動性がないのを触れるメリットは活かしたい、PTSで投げたりもできる

Q:初心者に株を教えるときに何をおしえますか
A:基本を頭にいれること、zaiの初心者本を10回読もう

Q:50歳から投資をはじめる場合どうするのがよいですか
A:年齢は関係なくて向き不向きの問題、性格ににあったものを
向いてない人はオルカンでも買いましょう

Q:STFさんと稼げない人の違いはどこにありますか
A:基本ができてないとだめ、無茶な一発勝負やっちゃだめ、増えたり減ったりするものだから

Q:ふつうの人にとっては真似できないとおもいますが
A:決算調べたりすることはできても高いとこ変えない人は多い、最初は交流がないなかでやってて後から気づいた

Q:決算いつ前まで調べますか
A:1年前まで、yonyだから

Q:資産が数千万のときは何銘柄のPFでしたか
A:20~40くらい

Q:ポジションの保有期間はどれくらいか
A:上がってるものは次の決算とおす、下がってたら減らす
半年超えたら現引きするとかしてる

Q:すごいとおもう投資家は
A:いっぱいいます

Q:ショートしないんですか
A:へたくそだからしない

Q:手数料削減で工夫してることありますか
A:売買手数料はきにしてない

Q:ザラ場で巨大地震がきたらどうする
A:減らす、あべさんがやめたときは喫茶店に行って上から順に減らした

Q:上がってるときは株数を減らさずにずっと持つの
A:だいたいそう、当たりをひっぱるのが大事だから

Q:時価同額や流動性はきにするか
A:5000万かいたいときに何日で帰るかは気にする、時価総額は気にしない
後から流動性が追いついてくることがあって触れるようになったりする

Q:きれいなチャートってどういうもの
A:右肩上がり

Q:これからバブルがくるとおもいますか
A:わからない、流れについてくのみ

Q:出金したお金はどうする
A:マンションかう、レバレッジもかける

【メッセージ】

成功する投資家の条件とは:
基本が頭に入ってること、最低限必要なベースがある、株の勉強会の発表を聞いていても数字の話ができない人が多い
自分のものさしやフィルターでものごとを判断できること、投資アイディアはぱくりでもいいんだけど自分で判断してフィルター通ったものだけ触るべき
自分なりのやり方で期待値を積み重ねられること

以下はわたしの所感です。STFさんのパフォーマンスはモメンタムファクターで説明できる水準をはるかに超えています。10年以上にわたって高いパフォーマンスを継続していること、非常に分散した(現在は100銘柄程度とのこと)ポートフォリオであることから、たまたま運に恵まれただけの一発屋タイプの個人投資家ではないと言ってよいでしょう。

おそらく超過利益の源泉は講演会で語られなかったところにあって、その意味でも講演を聴いた人が真似して同じようなことをやろうとしても勝つことは難しいでしょう。「上を買いたくなるものを買う」という表現があったけれど、上を買いたくなるとはどういうことなのか、開示資料からどのようなシグナルがあればそう認識されるのか、そのあたりにSTFさんに固有のエッジがあって、それは簡単には説明できないものであるように思われます。

わたしも最近になってダイヤモンドzaiやkabutanなどの取材を受けるようになり、取材では自分のやっていることを包み隠さず説明するし記事になったものを読んでもなるほどそこに間違ったことは何もないのだけど、そこにはわたしのエッジは(もしそんなものがあるとしてですが)表現されていないように感じるし、その記事を読んだ人が同じことをやろうとしてもわたしと同じことにはならないでしょう。もちろん記事を担当された方の能力に問題があるわけではなくて(わたしの取材をされた方はいずれも十分な投資の知識がありインタビュワーとしても優れた方でした)、そういうのは1時間そこいら話をしたくらいで伝わるようなものではないのだと思います。

『ファクター投資入門』の最初らへんにパフォーマンスをあげるファクターには優秀な裁量投資家の投資行動を分析したものが多いと書いてあった覚えがあり、でもおそらくそれは軽くインタビューをしたくらいでわかるものではなくてトレード履歴を子細に分析したり当人を缶詰にして売り買いの理由を突き詰めていったりしてようやく掬い上げられるようなものなのでしょう(このへんかなり推測で書いてますが)。神は細部に宿るというけれど、個人投資家の利益の源泉も話を聞いてすぐにわかるような部分にはないのだと思います。

ただ講演を聴いていて1つ強く感じたのはSTFさんの投資行動は本人がそう意識しているかはさておきPEADを取ろうとしているということで、PEADって何って人はPost Earnings Announcement Driftでググってほしいのだけど、決算の内容から継続性がよくわからなくても他の人もわかってなさそうなら買う、という発言はとくにそれを示唆するものであったと思います。参加者が100%良いとおもう決算に突撃してもダメなんですよねみんながみんな良いとおもうなら寄りでぜんぶ織り込んでしまうから。ただ見た目のよい決算に無差別で突撃してもそれはそれでパフォーマンス出ないはずでそこになにかの秘密があるのかなというのが昨日の講演で感じたことでした。