ビッグモーターのLINE騒動、新社長は「社員の負担軽減」を理由にアカウント削除を指示



保険金の不正請求問題で揺れる中古車販売会社のビッグモーター。26日に就任した和泉伸二社長は、社員への連絡に使っていたLINEのアカウントを削除するよう指示したことが分かりました。和泉社長は、社員の負担軽減が目的だと説明していますが、一体何があったのでしょうか。


LINEで直接メッセージを送る前社長

ビッグモーターは、保険金の不正請求問題が発覚したことを受けて、25日に兼重宏行前社長が辞任を表明しました。兼重前社長は、社内の連絡手段としてLINEのグループを作成し、社員に対して直接メッセージを送るなど、強権的な経営スタイルで知られていました。

しかし、このLINEのグループは、社員にとっては大きなストレスになっていたようです。和泉社長によると、「実は100ぐらいのグループLINEが作成され、店長などの役職になると、ほぼすべてに参加していて休日でも連絡が来ていた」ということです。休日でもLINEが鳴れば、精神的にも休みにならず、社員のモチベーションや健康にも影響が出ていたと考えられます。

そこで、和泉社長は、国土交通省の聴取のあと、記者団の取材に応じ、「私の判断で削除を指示した」と述べました。今後の調査への影響については、「LINEの中でも不正の確認や、証拠になり得るものがあれば、該当する社員は、記録として残しているだろうから、調査の中で、そういったものが提出できなくなるということはない」と説明しました。


パワハラと受け止められる「経営計画書」も回収

また、ビッグモーターは、「会社と社長の思想を受け入れない人は辞めてください」とか、「幹部には目標達成に必要な部下の生殺与奪権を与える」といった内容を書いた「経営計画書」と題した文書を配布していたことも明らかになっています。この文書は10年以上前に作成されたもので、兼重前社長の思想が反映されています。

しかし、この文書も社員から不満や恐怖を感じさせるものでした。和泉社長は、「ことばの表現が非常にインパクトも強いし、パワハラと受け止められるような印象もあり、今の時代に合ってない」と述べ、「いったんすべて回収し、新たにつくりなおそうと思っている」と話しました。

ビッグモーターは、新しい体制で再建を目指すことになりますが、社員の信頼や士気を回復するのは容易なことではないでしょう。LINEのアカウント削除は、社員の負担軽減につながるのか、それとも、不正の隠蔽に見えるのか。和泉社長の経営手腕に注目が集まります。