CyberAgent藤田社長のネルケプランニング評価


── 初めてネルケプランニングの作品を観た時の印象を教えてください。

藤田:一言でいうと"クオリティが高い"。裏切らないクオリティの高さが、ファンとの強い絆になっていますよね。サイバーエージェントの社員にも、ネルケのチケットを必死に取ろうとする人がいますが、あっという間に完売してしまいます。役者たちも「この舞台に立って売れる!」と情熱を持って舞台に立っていて、その姿をファンが応援し、夢中になっているのだなと、劇場で観て分かりました。

私自身、舞台をよく観に行きますが、商業的に成功させるためにはしっかりお金をかけて、クオリティを仕上げていく必要があります。お金をかければ必ず良いものになるとは限らないですが、ディズニーランドを見て分かる通り、細部までこだわり抜いたものは他が追随できないというか。ネルケの作品にも、そのクオリティの高さを感じました。

藤田:お金をかけないと、時間もかけられないし、細部にもこだわりきれないので、ネルケがその世界を築き上げたということですよ。演劇好きとはいえ、同じ舞台を何回もリピートするというのは、大半の人はなかなかしないのではと思います。そうさせる熱狂を生み出している点が素晴らしいです。

藤田:ネルケから打診を受けたとき「え!いいんですか?」と驚きましたが、その場で是非お願いしますとお答えしました。ネルケは業界でも有名な会社ですし、もし他社も株の取得ができるチャンスがあるとなると、多くの企業がビッティングに参加したいとなるような会社ですから、指名で声をかけてもらえたというのは本当によかったです。これまでにサイバーエージェントグループ入りした会社を見ていいと思ったと言っていただいたので、大事なのは普段の行いだなって思いましたね。

── サイバーエージェントには新たにグループ入りしている会社がありますが、大事にしている考え方はありますか。

藤田:クリエイティブを競争力に掲げる会社として、何が価値なのかをきちんと理解できているオーナーでいないと大変なことになってしまいます。ネルケには、大事にしている舞台クオリティがあって、それをちゃんと理解していないオーナーだと大変ですよね。クリエイティブの価値を理解しているかどうか、取り扱いができるかというのは、最近ではBABEL LABELがグループ入りの事例としてあるので、見えていたのかなと思います。
 
野上:エンターテインメントに対して、すごく理解を深めていらっしゃるのだと、BABEL LABELがグループ入りされたときの記事から伝わってきました。

藤田:売り込みに行きたいと思ってもらえる会社でいないといけないなと思います。

── 発表後のSNS上には「ABEMAに配信が寄っていくのか?」という声もありましたが、方針についてお聞かせください。

藤田:これについては、1ミリも考えていなかった。株の取得というのは支配目的ではありません。全力で出来る限りサポートして、投資した会社の価値を上げていくというのが基本スタンスです。もちろんABEMAで配信をしたほうが価値が上がるという判断が出てくる可能性ももちろんゼロではないですが。

野上:作品ごとに合っている媒体で配信していくのが1番良いと考えていますね。

藤田:私達の都合で無理やり最適な姿をゆがめてしまったら、それは会社の価値を下げてしまうことです。1番ベストな形を選ぶべきだと思いますね。

藤田:サイバーエージェントグループ全体でも、手掛けるイベントが増えてきています。
劇場やライブホールを持ちたいという想いはあるので、需要予測などがしっかり出来た上でにはなりますが、劇場についてもチャンスがあったら考えたいですね。

藤田:サイバーエージェントグループ全体でも、手掛けるイベントが増えてきています。
劇場やライブホールを持ちたいという想いはあるので、需要予測などがしっかり出来た上でにはなりますが、劇場についてもチャンスがあったら考えたいですね。

── 逆に、ネルケプランニングとしてこれまでと変わらないことも教えてください。

野上:とにかく原作をリスペクトし、原作を預かっている点を絶対に忘れないことです。我々は舞台に落とし込んだ時にどう面白くできるかを提案するのであって、原作から曲がったことを絶対にやってはいけません。これまでも丁寧にやってきましたが、もっと丁寧でなければならないと思っています。

作品をつくる時に丁寧に向き合うことがお客様と向き合うことに繋がっているので、ぶれることなくより強固にしていきたいですね。

── サイバーエージェントとして、連携を図っていくポイントを教えてください。

藤田:ネルケはクリエイティブ集団ですが、サイバーエージェントは上場企業を23年ほどやっていますので、経営管理面をサポートできたらと思います。ネルケがこれまで経験と勘でやってきた部分、会場選びやそのキャパシティ、上演頻度、原作選びなどを数値化したり科学したりして、判断軸の参考にしてもらう。本当の理想的な計画やスケジュールはこれだというものがあると最適化していけるので。

もちろんクリエイティブのクオリティをネルケプランニングのコアとして最優先した上で、経営管理をサポートすることでもっと大きくできそうだと感じています。今後、そういった部分で力になっていけたらと思います。

── 日本発のエンターテインメントをグローバル展開していくという点において、ネルケプランニングの可能性やサイバーエージェントグループ全体としての展望について聞かせてください。

藤田:ネルケの舞台は、世界に通用すると思っています。ウマ娘も舞台化していただきましたけど、我々のIPを舞台化したいときにネルケの力を借りたいというのは、これからもあるでしょうね。海外展開していくときに心強い仲間です。