「白癬菌(はくせんきん)」とは?原因や感染経路・症状について


白癬菌とは、カビの一種で、皮膚や爪、毛に感染して白癬という皮膚病を引き起こす真菌の総称です。

白癬菌には、人間に寄生するヒト好性菌と、動物や土壌に寄生する動物好性菌や土壌好性菌があります。

日本で最も多い白癬菌は、トリコフィトン・ルブルムというヒト好性菌で、足白癬(水虫)の原因となります。

他にも、以下のような白癬菌があります。

- **トリコフィトン・メンタグロフィテス**:小水疱型の足白癬や手白癬を引き起こすヒト好性菌

- **トリコフィトン・トンズランス**:頭部白癬(しらくも)を引き起こすヒト好性菌

- **ミクロスポルム・カニス**:頭部白癬や体部白癬(たむし)を引き起こす動物好性菌

- **ミクロスポルム・ギプセウム**:体部白癬を引き起こす土壌好性菌

- **トリコフィトン・ベルルコスム**:股部白癬(いんきんたむし)を引き起こすヒト好性菌

白癬菌に感染した場合、どのような症状があるかは、感染した部位や白癬菌の種類によって異なります。

一般的には、以下のような症状が見られます。

- **かゆみ**:白癬菌が皮膚の角質層に入り込んで炎症を起こすと、かゆみを感じることがあります。かゆみは強い場合もあれば、ほとんどない場合もあります。

- **水ぶくれ**:白癬菌が皮膚の表面に水疱(水ぶくれ)を作ることがあります。水疱は小さく透明なものや、大きく濁ったものがあります。水疱はやがて割れて皮膚がむけたり、かさぶたになったりします。

- **皮膚の変色**:白癬菌が皮膚に感染すると、皮膚が赤くなったり、白くなったり、黄色くなったりすることがあります。特に爪に感染すると、爪が白く濁ったり、黄色く変色したりします。

- **皮膚の変形**:白癬菌が皮膚や爪に長期間感染すると、皮膚や爪が変形することがあります。例えば、足の裏やかかとに感染すると、角質が厚く硬くなったり、ひび割れたりします。爪に感染すると、爪が分厚くなったり、ポロポロと崩れたりします。

以上が白癬菌に感染した場合の一般的な症状ですが、部位別に詳しく見てみましょう。

- **足白癬(水虫)**:足の指の間や足の裏に感染することが多いです。小さな水ぶくれや皮むけ、かゆみなどが起こります。足の裏やかかとでは角質増殖型というタイプの水虫もあります。これは角質が厚く硬くなってひび割れるタイプで、かゆみはほとんどありません。

- **手白癬**:手のひらや手指に感染することがあります。小さな水ぶくれや皮むけ、かゆみなどが起こります。手だけでなく足も同時に感染していることが多いです。

- **爪白癬(爪水虫)**:爪に感染することがあります。爪の先端や爪の脇から進行していきます。爪は白く濁ったり、黄色く変色したりします。進行すると爪自体が分厚く変形したり、ポロポロと崩れたりします。

- **体部白癬(たむし)**:顔や体幹部、腕や脚などに感染することがあります。赤いブツブツがリング状に広がっていきます。リングの中は治っているように見えますが、実際には白癬菌が残っています。かゆみを伴います。犬や猫などの動物から感染することもあります。

- **股部白癬(いんきんたむし)**:陰部や股間に感染することがあります。強いかゆみを伴いながらリング状の紅斑(赤み)が広がります。男性に多く見られます。

- **頭部白癬(しらくも)**:頭皮や髪の毛に感染することがあります。感染部位の毛髪が抜け落ちたり、フケのような皮膚片がたくさん見られたりします。かゆみを伴います。現在はほとんど見られませんが、子どもに多いです。

以上が白癬菌に感染した場合の部位別の症状です。

白癬菌に感染した場合、自分で判断して市販薬を使うのではなく、皮膚科や感染症内科などの医療機関を受診してください。

白癬菌は顕微鏡で確認することができるので、正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。