サイバーエージェント経営「引き継ぎ書」

①成長分野で事業をする

1つ目は「成長分野で事業をする」です。事業の伸びの9割は成長分野からつくられていて、既存分野でのシェア争いというのは1割に過ぎないので、成長分野で事業をやってねということなのですが、本当の目的は、社員の成長です。

新しい人が成長するのは、だいたい成長分野で仕事をした時で、会社が伸びると、新しいポストがうまれるし、新しい仕事をする経験が積めます。
発展途上国の若者はイキイキしてると感じると思いますが、モチベーション高く働けるのは、間違いなく成長分野です。

②自分で考え、自分で決めて、自分でやる

2つ目は「自分で考え、自分で決めて、自分でやる」です。これはいわゆるセルフ・リーダーシップの考え方です。
社員にとってはセルフ・リーダーシップで、リーダーにとってはサーバント・リーダーシップですね。
奉仕型リーダーシップともいわれるサーバント・リーダーシップは、みんなが頑張るために縁の下の力持ちとして裏方でサポートする考え方。それがサイバーエージェントの基本だと伝えました。

仕事をしていて心から面白いと感じるのは、自分で考えて決めた自分のアイデアを実行した時なんですね。
徹夜してでもやりぬこうという活力が出て、成功するとえも言われぬ喜びを感じるし、失敗すると物凄く悔しい。
仕事の面白さというのは、そういうところにあるんだと思います。

逆にセルフ・リーダーシップではなく、上が決めたことをトップダウンでやらされたり、昔からやり方が決まっているからと押し付けられた中で、長い時間仕事をするのは辛くつまらない。

一人一人の社員にセルフ・リーダーシップを求め、決断経験を積んで自分自身で能力を引き出せる環境をつくれればと思います。

③社員を大人として扱う

そして3つ目は「社員を大人として扱う」です。創業以来サイバーエージェントが大事にしてきた「自由と自己責任」です。

大人じゃなく扱うというのは、これくらい大きな規模になると、誰か1人の行動が組織全体に迷惑をかけることもあるので、決まりとかルールをつくってがんじがらめにするということです。

それでは、個人のクリエイティビティやアイデア、可能性を規則によってつぶしてしまう可能性があります。
自由で責任を伴った“大人”として扱うことで、能力を存分に発揮してもらいたいと思っています。

「成長分野で事業をする」「自分で考え、自分で決めて、自分でやる」「社員を大人として扱う」

これら3つはすべて、若い皆さんの能力を発揮し成長してもらい、それによって会社を伸ばすという、サイバーエージェントのポジティブループの基盤なんですね。
それを邪魔しないためにも、私も早いうちから社長を交代していくと。
皆さんの中から、社長を目指して物凄く仕事をする人が出てきたら、それも活性化の一因となります。

若いうちから活躍できる、社員が元気で楽しそうという理由で、この会社を選んでくれた人も多いと思いますが、実際にそういう環境ですし、会社もそれを期待しています。

皆さんの活躍を心より期待しています。
21世紀を代表する会社を一緒につくりましょう。