地上波とABEMAの新しい関係

地上波とABEMAの新しい関係

――最後に地上波との関係性について教えてください。将来的にどういう立ち位置を思い描いていますか。

「地上波か、ABEMAか、どちらを取るか」という話ではないと思っています。ワールドカップでも、地上波を見られない環境にいる方はABEMAを見てくださっていたと思いますし、地上波を見ながらABEMAを見て、マルチアングル機能やコメント機能を楽しまれている方もいらっしゃいました。ですので、場合によっては補完し合っているかもしれないし、共存し合っているかもしれません。つまり、ABEMAがあることで地上波がどうなるかではなく、あくまで視聴者の皆さま自身で、使い方、環境、ニーズに合わせて使い分けながら楽しんでいただくのが良いのではないでしょうか。

――あくまでもユーザーが決めることだ、と。

ワールドカップも、テレビ朝日の皆さまと一緒にやりきったからこそ無事終えることができました。そういう意味で、新しい形が生まれてきていると思っています。実際にテレビ朝日が中継したコスタリカ戦は多くの方が視聴されており、高い視聴率を記録しました(関東地区の平均世帯視聴率42.9%)。同時に我々としても、多くの方々に新しい形でワールドカップをご視聴いただきました。前例はありませんが、今までの尺度でどちらがいいという話ではなく、デバイス環境、通信環境、メディアの使い方などの点で顧客側が変容しているので、それに合わせて地上波とABEMAをハイブリッドな使い分けをしている方がいるかもしれないし、両方見られる選択肢はあっても、どちらかしか見ない方もいるでしょう。片方が成立したら片方が成立しなくなる、あるいは片方が主で片方が補完である、もしくは対等で共存する――こういったメディア視点の考え方ではなく、ユーザー視点の考え方をしていきたいです。視聴者の皆さまにとって価値があり、利便性があり、見たいコンテンツが提供されているサービスを、その時々のニーズやシチュエーションなどに合った形でご活用いただければと考えています。

――なるほど、これからは新しい形、関係性で成長していきそうですね。

視聴者の皆様は地上波、ABEMAという分け方ではなく、両方に価値があれば両方を使うと思います。そのためには、価値を提供し続けることが大前提です。価値を感じていただけないと、利用されずに終わってしまいます。

我々は「新しい未来のテレビ」として、便利な機能、利便性、充実したコンテンツを提供することにこれからも集中します。ABEMAが今後どう進化していくか、全ての意思決定の基準は視聴者の皆さまにあると思っています。