海外のオンラインカジノで使った


山口県阿武町が4630万円の給付金を誤って個人に振り込み、回収できなくなっている問題で、金を振り込まれた男性が直後から34回にわたって全額を出金していたことがわかりました。男性は「少しずつでも返していきたい」と話しているということです。

阿武町は先月8日、新型コロナの影響で生活に困窮する世帯を対象に1世帯当たり10万円を支給する国の臨時特別給付金について、463世帯分の合わせて4630万円を誤って町内の24歳の男性の口座に振り込み、その後、返還を拒まれ、回収できなくなっています。

この問題で男性の代理人の弁護士が18日取材に応じ、町から振り込まれたその日のうちに金を使い始め、先月18日までの11日間に34回にわたって全額を出金していたことを明らかにしました。

出金は1回当たり60万円余りから、多い時には400万円で、男性は使用した際に即時に引き落とされる「デビット決済」や、複数の決済代行会社を通じて、海外のオンラインカジノで使ったということです。


代理人の弁護士によりますと、男性は「お金を使ってしまったことは大変申し訳ない。少しずつでも返していきたい」と話しているということです。

阿武町長「裁判で真実を語ってほしい」

山口県阿武町で誤って振り込まれた4630万円の返還を拒否していた男性が代理人の弁護士を通じて謝罪と返済の意向を示したことについて、阿武町の花田町長は「裁判のなかでお金の流れやどのように使ったのかなど真実を語ってほしい」と述べました。

阿武町の花田憲彦町長は18日、町役場で報道各社の取材に応じ、男性が謝罪と返済の意向を示したことについて「私としてはそのことばは素直に喜びたいし、私どもの誤振り込みによって起きたことについては男性におわびしないといけないと思う」と述べました。

そのうえで「裁判のなかでお金の流れやどのように使ったのかなどを包み隠さず、真実を語っていただくことがいちばん大事なことだと思う」と述べて、事実関係を明らかにして、全額を返金してもらいたいという考えを改めて示しました。

 山口県阿武町の誤給付を巡って同町の無職、田口翔容疑者(24)が電子計算機使用詐欺容疑で逮捕された事件で、田口容疑者がオンライン決済代行業者3社に振り込んだうちの1社分、約3500万円が町の口座に返還されたことが捜査関係者への取材で判明した。田口容疑者は振り込んだ金を「ネット(オンライン)カジノで全て使った」と説明していたが、振込先に残っていたとみられる。

 代理人弁護士などによると、田口容疑者は4月10〜18日、27回にわたってオンライン決済代行業者1社に計約3592万円を振り込んでいた。阿武町は田口容疑者に誤給付の4630万円を返すよう求めて提訴しており「係争中のためお答えは控えたい」としているが、返還されたのは同社に振り込まれた分とみられる。町は24日、花田憲彦町長の記者会見を予定している。

 田口容疑者は4630万円が誤給付された4月8日以降、同社とは別のオンライン決済代行業者2社に300万円と400万円を各1回振り込み、400万円の振り込みが逮捕容疑になった。その他、買い物時などに口座から代金を引き落とすデビット決済で計約340万円を出金。この計約1040万円は返還されておらず、捜査関係者は少なくとも一部はオンラインカジノで使われたとみている。

 阿武町は誤給付の4630万円が移されたことを確認した二つの銀行の口座について、差し押さえを求める仮処分を4月28日に申し立てた。田口容疑者の代理人弁護士は町が起こした訴訟で、同容疑者が請求を無条件に認める「認諾」の手続きを取ったことを明らかにしている。