AppBankの敗因

もともとファミ通さんが作っていたゲーム攻略の文脈を、インターネットのスピード感を使ってぶち壊したのがAppBankだった。そこにメーカーとの距離感、守るべきモラル、発信すべき内容の精査の必要がないWiki系のメディアが現れたことで、負けたよね。

最初、出演者を増やして多チャンネル化していく方向はすごくうまく機能しているように見えました。

ただ途中から、演者がAppBankを辞めて独立する流れが出てきてしまいますよね。あの動きってむらいさん的にはある程度は想定していたことなんですか?

いや、あの当時は見えていなかったね。完全に私のミスジャッジ。明確な失敗だと思っています。

全員と個別でタレント契約を結ぶ。YouTubeがこんなに儲かるプラットフォームになるとは想像できてなかった。要するに会社からもらえる給料以上の収入を得られることが、YouTubeの管理画面を見るだけでわかるわけで。だったら自分でやったほうがいいと思うよね。

僕が聞いている話でも、君レベルならこれくらい稼げるよって、各所から引き抜きや独立を促すんですよね。

上場が関係するのは株式をもらえる古参の方々で、その人たちは動画チームへ行っていた。メディアチームでは上場のメリットを感じていない人の方が多かったと思います。

なにより、もっと大きな問題が目の前にあった。当時のAppBankのメディアチームってすごく迷走していて。先ほど言った「おもしろくなくなっていった」ことをどうすれば解消できるか悩んでいた。それに伴ってライターチーム内での意見のすれ違い、小さな派閥争いがあって。

PR記事がAppBankを支えている考えと、そもそもPVの下支えをしている記事、手堅い物販が支えているみたいな考えがあって、その中でギスギスしてしまって。