「信用」というものはバランスシートの強さで決まるのではなく借り手の決心の固さで決まります

みんなデフォルト(踏み倒し)とかクレジット(信用)とかの概念が無茶苦茶。なにもわかってない。これ、わかってないとMMTは理解できないことはもちろんの事、なぜワイマール共和国時代のドイツがハイパー・インフレになったか?の本当の理由も理解できない。 これから説明する。

銀行業でもっとも大切なことは借り手の(何が何でも約束を守るぞ!)という意志の強さです。それを英語ではCharacterといいます。でもここでのcharacterは「個性」ではなく、「人物の堅さ」という意味。

断っておくけど、これは僕の意見じゃないです。Jピアポント・モルガン、つまりJPモルガンの考え。

JPモルガンの「信用」に関する見解は1912年に彼が独禁法違反を調査するプジョー委員会に呼ばれ議会で証言したときの供述に詳らかになっています。

重要な箇所なのでプジョー委員会とJPモルガンのやりとりを抄訳します。 

委員会:「あなたはどういう基準である人におカネを貸すのですか?」 

モルガン:「それは私が借り手の人物を信ずるからです」

委員会:「借り手の懐具合に関わらず貸すの?」 

モルガン:「そういうことは多いです。実際、私は相手が返済の見込みが今立たないようなケースでもおカネを貸したことはあります」 

委員会:「ビジネスとしての融資は相手の財政事情や担保の有無で実行されるんじゃないのかね?」

モルガン:「いいえ、そうではありません。最初に来るのは石に噛り付いてでも約束を守る意志の強さ(character)です」 

委員会:「それは貸付けを実行する際、ルールとしてそういう貸し方をしているのかね?」 

モルガン:「そうです。わが行のルールとして借り手の意志の強さを最重要視します」

これはバンキングのエッセンスが詰まった重要なやりとりなので全ての銀行マンや投資銀行に勤める人が知っておくべき常識。

つまり「信用」というものはバランスシートの強さで決まるのではなく、借り手の決心の固さで決まります。ハイパー・インフレに見舞われたドイツが、そうなってしまった理由は(こいつ、返済する気、無いな?)ということが相手国に見透かされたから。それがドイツマルク急落の原因。

しかもドイツ国民からも(政府には約束を守る気など、サラサラ無いぞ!)と信用されなかった=これこそがinflation expectation、つまり「インフレ期待」という概念。

ひるがえって今日の日本円を見ると日本国民は(ひょっとして円の価値が暴落するかもしれないから、はやく使い切ってしまおう!)と思っていますか? そう思ってない限り、ハイパー・インフレは来ません!

つまり信頼が壊れたとき、信義が裏切られたとき…そういう瞬間にハイパーインフレが来るし、デフォルトが来る。

「なにびとも自分に降りかかって来る試練を選ぶことは出来ない。運命、そして歴史が、試練を我々のところへもたらすのだ。我々のやるべきことはただ一つ。その挑戦に立ち向かうことだけである」  

→これは借金を踏み倒す人の発言だと思う??????

いまアメリカは30%にも上るような景気刺激策を実行しようとしています。すべて借金! それにも関わらず、ドルが岩盤なのは、なぜ? =その理由は、上のパウエル発言。