ハイパーインフレは戦争というものをキッカケにして起こるケースが多い

ハイパーインフレが実際に起きた事例は「稀」です。でも「デフレ気味」の状態は、いま、我々の眼前にあるリスク。だから我々の行く手に立ちはだかっている試練から目を離さないで!とお願いしているだけ。

クレカ利用状況のデータは①リアルタイムだし②全く思惑とか操作が入る余地の無い生データ、なので資料として参考になると思っているけれど、足元のクレカ利用状況は前年同期比-16%なんです。これはとても酷い数字。

普通、自然な状態でクレカ利用は年々前年比+5%前後成長します。すると-16%ということは実際には「あるべき姿」からすると-20%前後落ち込んでいるわけです。

クレカ利用が落ち込んでいる理由は皆がモノを買わないしサービスを利用しないから。つまり需要不足。

需要不足は国民の意識の「委縮」から起きることが多いです。いまは健康に対するリスク、つまり新型コロナで庶民のマインドが委縮している。 そんなときに……ハイパーインフレ心配して、どうする?(笑) 心配すべき事がぜんぜんあべこべ。


ハイパーインフレは戦争というものをキッカケにして起こるケースが多いです。(すべてがそうじゃないけど) なぜなら戦争ではまず弾薬や爆弾など価値の塊となるものをどんどん作って、次にそれをどんどんぶっ放し、使い切るから。

つまり戦争では「特需」が起きる。それは需要の爆発に他ならない。いま起きている需要の陥没と正反対。

ドイツのハイパーインフレの原因は①第一次世界大戦の戦費調達の仕方、②戦後の賠償金の支払い問題、という二つの特殊事情にあります。

第一次世界大戦が始まった時、フランスやイギリスは増税などを通じて戦費をねん出しようとした。これに対してドイツは借入を増やすことで乗り切ろうとした。その背景には戦争が短期で終結するという読みがあったから。これは間違っていた。

実際にはドイツは「まさか!」の敗戦。戦勝国から賠償金を要求された。前線からは傷痍軍人がどんどん帰ってきて、彼らの面倒をみる社会保障費用も増えた。

ルール工業地帯を借金のカタにフランスにおさえられてしまったので、輸出により外貨を獲得し、賠償金を返済するということも出来なくなった。 それでドイツは輪転機をフル回転することで難局を乗り切ろうとした。おカネの価値がシャバシャバに薄められたから、マルクの価値が暴落、ハイパーインフレに。

つまりドイツのハイパーインフレの背景にはそういう強力な誘因が存在した。いまの日本には、それは無い。