アンワイドとは?

アンワインドとはポジション解消のことを指し、買いと売りを組み合わせて運用するロングショートヘッジファンドの場合、上がると見込んだ株を売って、下がると見込んだ株を買う動きをすることになります。こうした意に反する取引を迫られるのは、次のようなケースが考えられます。

こうした意に反する取引を迫られるのは、次のようなケースが考えられます。

・相場の急変動で先行きが不透明になった時に、安全を確保するためにポジションを軽くする
・あるヘッジファンドが大きな損失を出し、追加の損失を回避するために強制的にポジションサイズの縮小を図る

 通常の相場で起こる散発的なアンワインドはさほど問題にはなりません。上がると見込まれる株が売られて割安になり、下がると見込まれる株が買われて割高になるので、これ幸いとばかりにその歪んだ需給は市場に吸収されていきます。

 ところが、これが短期間に集中的に発生すると大変なことが起きます。吸収しきれなかった需給によって期待していたのとは逆方向に株価が動くため、同様の戦略を取っている他のファンドマネジャーの成績が悪化します。そこに急激なボラティリティの上昇などが加わると、リスク管理の観点からポジションの縮小が始まり、アンワインドの連鎖が起きて成績の悪化に拍車がかかり、動きが加速していくことになるのです。

 このアンワインドの連鎖によりヘッジファンドが大打撃を被ったことが過去にもありました。それをまとめたものが「ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち」です。

  リーマンショックから遡ること1年前、前回のサイクルのターニングポイントと言われる2007年8月に起きたパリバショックに端を発する、表からは決して見えなかった相場の知られざる大混乱を描いた作品です。

 この中では、ゴールドマン・サックスが運用するヘッジファンド、「グローバルアルファ」がサブプライム関連で巨額の損失を出し、マージンコールによって株式や債券など一緒に運用されていた他のアセットを投げ売りしたことが崩壊の引き金を引いたと結論付けていました。