取締役会役員について

  • 過去62年に渡り、私は21の上場企業で取締役会役員を務めてきた。
  • 最初の30年間は取締役会に女性役員がいることはほとんどなかった。そして、憲法修正第19条が成立してから100周年になるが、今でもまだまだ改善の余地がある状態だ。
  • 長年に渡って、取締役会の構成や義務について様々なルールやガイドラインが導入されてきたが、本質的な課題が才能があり誠実でひたむきな人材を見つけることだという点は変わらない。
  • 監査委員会が以前に増して目を光らすようになってきているが、財務表を操作してガイダンスや指標に合わせようとするCEOがいる場合はどうにもならない。
  • 報酬委員会がコンサルタントに頼るケースも増えており、報酬内容も以前より複雑になっている。
  • 1つ、とても重要なガバナンスの改善として、定期的にCEOを除いた役員会議を行うことの義務付けがあった。それまではCEOのスキル、買収判断、報酬などについて率直に語る機会がなかった。
  • CEOの買収判断は取締役会にとっては依然厄介な問題となっているが、それはCEOが反対派の批評を積極的に検討しないからだ。まあ私も人のことを言えないが。
  • とにかく、全体としてはCEOがやりたいようにやれる環境なので、買収の専門家を雇ってメリット・デメリットを取締役会で議論できるようにすると良いのではないか。昔から言うではないか、「ヘアカットが必要かどうかを理髪師に聞くな」と。
  • 役員の独立性が重要視されるようになってきているが、これに関する点で見過ごされがちなことがある。役員の報酬だ。年に6回ほど取締役会の会議に出席するだけで25~30万ドルの報酬を受け取っている役員を想像してみて欲しい。この地位があるだけで一般市民の平均収入の3~4倍稼げるわけである。
  • ちなみに、私が1990年代初頭にPortland Gas and Lightで役員をしていた当時は、メイン州まで年に4回通って100ドルの報酬だった。
  • また、役員は目立たないが、解雇されることは滅多にない。
  • となると、役員を兼任して報酬を増やしたい人が出てくるわけで、CEOにたてついたことがないという経歴のある候補者が有利になってくるわけである。
  • このような非論理的な状況にもかかわらず、これらの役員は「独立派役員」とされる。
  • 最近、とあるアメリカ企業のプロキシを読んでいたら、役員の8名が自己資金でその企業の株を買っていなかった。この企業は長い間低迷しているが、役員らは裕福にやっているようだ。自己資金で株を買うことで役員が賢明になるわけでも事業が先端を行くわけでもないが、個人的には自分で株を買っている役員がいる方が安心できると思っている。