蓄積した内部留保のパワーについて

  • 1924年に、無名だった経済学者Edgar Lawrence Smithが「Common Stocks as Long Term Investments」という、投資業界に波紋を投げかける薄っぺらい本を出版した。もともとは「株式はインフレ期間には債券を上回るリターンを生み、債券はデフレ期間に株式を上回るリターンを生む」という仮説を証明しようと書いた本だったが、「うまく経営されている企業は利益をすべて株主に還元しないで事業に再投資するものだが、これ自体に複利効果があり、配当金とは別のリターン(キャピタルゲイン)を生む」という結論だった。
  • カーネギー、ロックフェラー、フォードなどが事業に再投資して巨額の富を築いていたのに内部保留の力が認識されていなかったのはおかしな話だが、それでも「株式というのはギャンブルや投機であり、紳士は債券を好むもの」だとされていた。
  • 今日では、内部留保の力は投資家の間でも認識されるようになり、複利に至っては子供でも理解するようになっている。
  • Berkshireでは、この力を利用するため、すでに所有している事業に再投資することを第一に考えている。
  • その次に考えるのは、1)有形資本のリターンが高い、2)経営者が有能で誠実である、3)妥当な価格で買収可能、という条件を満たす事業を買収することをである。
  • 条件を満たす事業があれば丸ごと買いたいのだが、そのような機会はあまりない。気まぐれな市場が、企業支配権には満たないがまとまった枚数の上場企業の株を買う機会をくれるだけのことの方が多い。