『非正規という言葉を、この国から一掃していく』

「今年1月に『非正規という言葉を、この国から一掃していく』と演説した安倍首相が推し進める『働き方改革関連法案』は、’19年度から大企業での施行を目指しています。その前に、早々に非正規社員の待遇改善を打ち出したのは日本郵政による“忖度”のようなものです。また、日本郵政の非正規社員が待遇是正を東京地裁と大阪地裁に訴えていました。両裁判所が、住宅手当や家族手当などの処遇も含め、正社員との格差は違法との判決を下したことも背景にあります」

会社は正社員に支払われている扶養手当を無期転換後のアソシエイト社員に8割支給すると回答。併せて正社員の支給額を5年間の減額経過措置を設けた上で、配偶者分を1万2千円から6千円に引き下げた。

 日巻委員長は「非正規の中に格差を設け、正社員の処遇を下げた」と批判し、国が示した同一労働同一賃金ガイドラインに反する内容だと断じた。

日本郵政グループは回答文書で同一労働同一賃金の法施行と指針に言及し、関係法令や指針などを踏まえて適切な処遇の実現を目指すと言いながら、有期雇用の処遇改善はゼロ回答だ。労契法20条裁判で不合理と認められた有給の夏期・冬期休暇や病気休暇にも応じなかった。

 無期転換後のアソシエイト社員には扶養手当の8割支給を回答し、非正規雇用の処遇改善だと胸を張るが、非正規雇用の中に格差を設けたにすぎない。労契法20条裁判(西日本)で大阪地裁は、有期雇用への扶養手当不支給は不合理と判断したが、大阪高裁は手当の性質を「長期雇用を前提とする基本給の補完」とし、認めなかった経緯がある。

 同一労働同一賃金ガイドラインの正式名称は「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」。主な対象は労働契約法20条同様、有期雇用労働者だ。会社がこの問題にどう向き合うかが問われている。


日本郵政グループが、正社員のうち約5千人の住居手当を今年10月に廃止することがわかった。この手当は正社員にだけ支給されていて、非正社員との待遇格差が縮まることになる。「同一労働同一賃金」を目指す動きは広がりつつあるが、正社員の待遇を下げて格差の是正を図るのは異例だ。

政府は非正社員の待遇が、正社員の待遇に引き上げられることを想定。非正社員の賃金を増やして経済成長につなげる狙いもある。ただ、日本郵政グループの今回の判断で、正社員の待遇を下げて対応する企業が広がる可能性がある。

内部通報の内容は、「言うこと聞かないなら多局に飛ばすぞ」と恫喝、夜9時半まで営業電話をかけさせアポが取れるまで帰さない、朝礼で「人としてクズ」「給料泥棒」といった発言、社員が見ている場で怒鳴りながら後ろから足蹴り、などがあります。また、先輩から受けたパワハラ行為を内部通報したところ、調査途中で暗礁に乗り上げたとされ、通報を知った先輩から「余計なことをするな」と言われた。

人事部門に「パワハラ案件を抱えたままだと昇進できない」と言われ、渋々訴えを取り下げた、という例もあるそうです。実名通報後に異動になり「飛ばされた」という例もあり、「会社への不正の通報は効果が薄くリスクも高い」と思われている、ということです。